フィオレンティーノ
March 27, 2012
Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Four
セルジオ・フィオレンティーノ
The Early Recordings Volume Four
Liszt: The Orchestral Recordings
1. メフィストワルツ 第1番 S.514
2.-6. 5つのハンガリー民謡 S.245
7. アブ・イラート S.143
8. 婚礼 S.161/1
9.-12. ピアノ協奏曲 第2番 S.125*
13. 華麗なるポロネーズ S.367 (ウェーバー=リスト)*
14. ポーランド民謡による幻想曲 Op.13 (ショパン)*
*ヴァーノン・ハンドリー指揮/ギルドフォード・フィルハーモニー管弦楽団
apr APR 5584
Recorded: 1962-1966
〔メモ〕
"この類稀なるヴィルトゥオジティ、想像力に富んだデリカシー"
イギリスの著名な批評家であるブライス・モリソンはこのようにフィオレンティーノを称賛しています。ルイジ・フィニッツィオやパオロ・デンツァ(ブゾーニの弟子)に師事したフィオレンティーノです。彼は飛行機事故に遭い、その後遺症から体が麻痺することがありました。その結果コンサート活動はあまり行わず、教育活動をメインにしていました。
ここに収められた録音は事故のあと復帰した時のものですが、事故の影響など微塵も感じさせません。「メフィストワルツ」や「アブ・イラート」など悪魔に憑かれたかのような凄まじい演奏です。そして以前から何度も書いていることですが、フィオレンティーノは様々なタイプの曲にそれにあった相応しい解釈で演奏します。「婚礼」では、悪魔はどこかへ行ってしまい、瞑想性が高く、あたかも聖人が演奏しているかのようです。バラエティに富んだ収録曲もこのディスクの魅力のひとつでしょう。
「華麗なるポロネーズ」と「ポーランド民謡による幻想曲」の2曲以外の全てはマスターテープが失われているため、ここに収録されているものは当時市販されたLPからの板起こしでの録音となります。
フランツ・リスト→カール・タウジヒ→ベニアミーノ・チェージ→アレッサンドロ・ロンゴ→パオロ・デンツァ→セルジオ・フィオレンティーノ
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume One
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Two
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Three
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The Early Recordings Volume Four
Liszt: The Orchestral Recordings
1. メフィストワルツ 第1番 S.514
2.-6. 5つのハンガリー民謡 S.245
7. アブ・イラート S.143
8. 婚礼 S.161/1
9.-12. ピアノ協奏曲 第2番 S.125*
13. 華麗なるポロネーズ S.367 (ウェーバー=リスト)*
14. ポーランド民謡による幻想曲 Op.13 (ショパン)*
*ヴァーノン・ハンドリー指揮/ギルドフォード・フィルハーモニー管弦楽団
apr APR 5584
Recorded: 1962-1966
〔メモ〕
"この類稀なるヴィルトゥオジティ、想像力に富んだデリカシー"
イギリスの著名な批評家であるブライス・モリソンはこのようにフィオレンティーノを称賛しています。ルイジ・フィニッツィオやパオロ・デンツァ(ブゾーニの弟子)に師事したフィオレンティーノです。彼は飛行機事故に遭い、その後遺症から体が麻痺することがありました。その結果コンサート活動はあまり行わず、教育活動をメインにしていました。
ここに収められた録音は事故のあと復帰した時のものですが、事故の影響など微塵も感じさせません。「メフィストワルツ」や「アブ・イラート」など悪魔に憑かれたかのような凄まじい演奏です。そして以前から何度も書いていることですが、フィオレンティーノは様々なタイプの曲にそれにあった相応しい解釈で演奏します。「婚礼」では、悪魔はどこかへ行ってしまい、瞑想性が高く、あたかも聖人が演奏しているかのようです。バラエティに富んだ収録曲もこのディスクの魅力のひとつでしょう。
「華麗なるポロネーズ」と「ポーランド民謡による幻想曲」の2曲以外の全てはマスターテープが失われているため、ここに収録されているものは当時市販されたLPからの板起こしでの録音となります。
フランツ・リスト→カール・タウジヒ→ベニアミーノ・チェージ→アレッサンドロ・ロンゴ→パオロ・デンツァ→セルジオ・フィオレンティーノ
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume One
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Two
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Three
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February 11, 2012
セルジオ・フィオレンティーノのサーガ録音
セルジオ・フィオレンティーノは録音史が非常に屈折しています。
・サーガ録音
フィオレンティーノはイギリスの今は亡きサーガレーベルへいくつか録音を残しています。しかし彼のいくつかの録音はポール・プロコポリスという架空のピアニスト名で発売されます。権利関係に詳しくないのでなぜそうなったのかよくわかりませんが、会社側がフィオレンティーノにロイヤリティーを払いたくないためにそうしたのでしょうか?
※追記
コメント欄でyoshimi様がプロコポリス誕生の経緯を投稿してくださいました。ご参照ください。
yoshimi様のブログ「気ままな生活」でもフィオレンティーノのことを取り上げています。
・aprの復刻
彼は多くの録音を残してるにもかかわらず、それらは注目を浴びませんでした。彼の録音はaprレーベルが復刻して初めて脚光を浴びることになります。またベルリンのライブ録音をシリーズで発売していますが、そちらも素晴らしい企画です(Piano Classicsレーベルが最近再版しました)。
・Concert Artistsの詐欺行為
このコンサート・アーティスツというレーベルは他人の録音をジョイス・ハットやフィオレンティーノの録音として発売し、いわば詐欺行為をはたらいた会社です。一部は判明してますが、フィオレンティーノ名義のCDもほとんどが誰の演奏かわかりません。
上で述べたようにサーガレーベルは既に存在しませんが、なんとレコードプロデューサーでフィオレンティーノと親交があり、フィオレンティーノのディスコグラファーでもあるエルンスト・ルンペさんがフィオレンティーノのサーガ録音を全てYoutubeにupしてくれました。
外部リンク:フィオレンティーノのサーガ録音全曲
ルンペさんありがとう!
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・サーガ録音
フィオレンティーノはイギリスの今は亡きサーガレーベルへいくつか録音を残しています。しかし彼のいくつかの録音はポール・プロコポリスという架空のピアニスト名で発売されます。権利関係に詳しくないのでなぜそうなったのかよくわかりませんが、会社側がフィオレンティーノにロイヤリティーを払いたくないためにそうしたのでしょうか?
※追記
コメント欄でyoshimi様がプロコポリス誕生の経緯を投稿してくださいました。ご参照ください。
yoshimi様のブログ「気ままな生活」でもフィオレンティーノのことを取り上げています。
・aprの復刻
彼は多くの録音を残してるにもかかわらず、それらは注目を浴びませんでした。彼の録音はaprレーベルが復刻して初めて脚光を浴びることになります。またベルリンのライブ録音をシリーズで発売していますが、そちらも素晴らしい企画です(Piano Classicsレーベルが最近再版しました)。
・Concert Artistsの詐欺行為
このコンサート・アーティスツというレーベルは他人の録音をジョイス・ハットやフィオレンティーノの録音として発売し、いわば詐欺行為をはたらいた会社です。一部は判明してますが、フィオレンティーノ名義のCDもほとんどが誰の演奏かわかりません。
上で述べたようにサーガレーベルは既に存在しませんが、なんとレコードプロデューサーでフィオレンティーノと親交があり、フィオレンティーノのディスコグラファーでもあるエルンスト・ルンペさんがフィオレンティーノのサーガ録音を全てYoutubeにupしてくれました。
外部リンク:フィオレンティーノのサーガ録音全曲
ルンペさんありがとう!
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November 01, 2011
Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Three
セルジオ・フィオレンティーノ
The Early Recordings Volume Three
Années de pèlerinage : Première année - Suisse
1.-9. 巡礼の年 第1年 スイス (全曲) S.160
10.-12. 巡礼の年 第2年 補遺 ヴェネツィアとナポリ (全曲) S.162
apr APR 5583
Recorded: 1963/1962
〔メモ〕
フィオレンティーノの初期録音集第3弾です。 フィオレンティーノの主な師はパオロ・デンツァやカルロ・ゼッキであり、そういう意味ではイタリア・ブゾーニ楽派の正統的な継承者と言えるかもしれません(デンツァ、ゼッキ共にブゾーニの弟子)。しかし本人は最も大きな影響を受けたのは巨匠たちの実演を演奏会で聴いたことだと語っています。その巨匠たちというのはフィッシャー、コルトー、ギーゼキングです。そして他に影響を受けたものとしてラフマニノフのレコーディングを挙げています。
リストのコンソレーションという曲集はこの巡礼の年という曲集とはまったく異なる種類の曲集ですが、ここでのフィオレンティーノの演奏を聴いているとコンソレーションを聴いている気分になりました。コンソレーションは詩情豊かな曲集ですが、このゆっくりめのテンポで演奏されたスイスの曲集もポエジーのたちのぼる名演です。
ちなみに「ヴェネツィアとナポリ」はオリジナルのマスターテープが失われているため、ここに収録されたものは市販されたLPレコードから板起こしで復刻したものとのことです。
フランツ・リスト→カール・タウジヒ→ベニアミーノ・チェージ→アレッサンドロ・ロンゴ→パオロ・デンツァ→セルジオ・フィオレンティーノ
関連記事: Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Two
関連記事: Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume One
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The Early Recordings Volume Three
Années de pèlerinage : Première année - Suisse
1.-9. 巡礼の年 第1年 スイス (全曲) S.160
10.-12. 巡礼の年 第2年 補遺 ヴェネツィアとナポリ (全曲) S.162
apr APR 5583
Recorded: 1963/1962
〔メモ〕
フィオレンティーノの初期録音集第3弾です。 フィオレンティーノの主な師はパオロ・デンツァやカルロ・ゼッキであり、そういう意味ではイタリア・ブゾーニ楽派の正統的な継承者と言えるかもしれません(デンツァ、ゼッキ共にブゾーニの弟子)。しかし本人は最も大きな影響を受けたのは巨匠たちの実演を演奏会で聴いたことだと語っています。その巨匠たちというのはフィッシャー、コルトー、ギーゼキングです。そして他に影響を受けたものとしてラフマニノフのレコーディングを挙げています。
リストのコンソレーションという曲集はこの巡礼の年という曲集とはまったく異なる種類の曲集ですが、ここでのフィオレンティーノの演奏を聴いているとコンソレーションを聴いている気分になりました。コンソレーションは詩情豊かな曲集ですが、このゆっくりめのテンポで演奏されたスイスの曲集もポエジーのたちのぼる名演です。
ちなみに「ヴェネツィアとナポリ」はオリジナルのマスターテープが失われているため、ここに収録されたものは市販されたLPレコードから板起こしで復刻したものとのことです。
フランツ・リスト→カール・タウジヒ→ベニアミーノ・チェージ→アレッサンドロ・ロンゴ→パオロ・デンツァ→セルジオ・フィオレンティーノ
関連記事: Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Two
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May 25, 2011
Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Two
セルジオ・フィオレンティーノ
The Early Recordings Volume Two
The Virtuoso Liszt
1. パガニーニ大練習曲 第2番 S.141/2
2. 小人の踊り S.145/2
ハンガリー狂詩曲 S.244 より
3. 第2番
4. 第6番
5. 第7番
6. 第10番
7. 第11番
8. 第13番
9. 半音階的大ギャロップ S.219
10. パガニーニの《鐘》による華麗なる大幻想曲 S.420
apr APR 5582
Recorded: 1966/1962
〔メモ〕
フィオレンティーノの初期録音第2集です。前作の「思索家・リスト」とこのディスクの「ヴィルトゥオーゾ・リスト」というテーマの対比が秀逸です。フィオレンティーノの全く異なる側面をここで垣間見ることになります。例えばリストの思索的な作品で詩的で深い表現を示すことができるピアニストがいるとしても、そのピアニストがリストの技巧的な曲でもその本領を発揮できるとは限りません(逆もまた然り)。フィオレンティーノはそのリストの両側面で力を発揮できる数少ないピアニストだと思います。僕が一番素晴らしいと思ったのはパガニーニ練習曲ですが、この曲に自由なフレーズの追加を施してます。それとは対照的に、解説によるとハンガリー狂詩曲において「2番のリストによるカデンツァ挿入の指示を受け入れず、11番のコルトーによるツィンバロン・トレモランディの装飾を避けている。彼の華麗な技巧性自体が魅力となっている」とのこと。非常に素直な技巧性を発揮させた名演だと思います。鐘による大幻想曲は世界初録音とのことですが、面白い演奏であり、興味深い楽曲だと思います。ブゾーニはこの曲に注目していたようです。ブゾーニ直系ピアニストであるフィオレンティーノがこの曲を録音してることは興味深い事実です。しかしフィオレンティーノと親交があったレコードプロデューサーのエルンスト・ルンペ氏によると、フィオレンティーノはこの曲を好きではなかったがレコード会社の要請により録音したとのことです。
ちなみにフィオレンティーノは1960年にロンドンでのリサイタルで一度この幻想曲で演奏するのですが、その時の聴衆にリスト弾きとも言えるケントナーやオグドンもいました。そしてそのことがオグドンがこの曲を学ぶきっかけとなったとのことです。
フランツ・リスト→カール・タウジヒ→ベニアミーノ・チェージ→アレッサンドロ・ロンゴ→パオロ・デンツァ→セルジオ・フィオレンティーノ
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Three
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume One
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Four
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The Early Recordings Volume Two
The Virtuoso Liszt
1. パガニーニ大練習曲 第2番 S.141/2
2. 小人の踊り S.145/2
ハンガリー狂詩曲 S.244 より
3. 第2番
4. 第6番
5. 第7番
6. 第10番
7. 第11番
8. 第13番
9. 半音階的大ギャロップ S.219
10. パガニーニの《鐘》による華麗なる大幻想曲 S.420
apr APR 5582
Recorded: 1966/1962
〔メモ〕
フィオレンティーノの初期録音第2集です。前作の「思索家・リスト」とこのディスクの「ヴィルトゥオーゾ・リスト」というテーマの対比が秀逸です。フィオレンティーノの全く異なる側面をここで垣間見ることになります。例えばリストの思索的な作品で詩的で深い表現を示すことができるピアニストがいるとしても、そのピアニストがリストの技巧的な曲でもその本領を発揮できるとは限りません(逆もまた然り)。フィオレンティーノはそのリストの両側面で力を発揮できる数少ないピアニストだと思います。僕が一番素晴らしいと思ったのはパガニーニ練習曲ですが、この曲に自由なフレーズの追加を施してます。それとは対照的に、解説によるとハンガリー狂詩曲において「2番のリストによるカデンツァ挿入の指示を受け入れず、11番のコルトーによるツィンバロン・トレモランディの装飾を避けている。彼の華麗な技巧性自体が魅力となっている」とのこと。非常に素直な技巧性を発揮させた名演だと思います。鐘による大幻想曲は世界初録音とのことですが、面白い演奏であり、興味深い楽曲だと思います。ブゾーニはこの曲に注目していたようです。ブゾーニ直系ピアニストであるフィオレンティーノがこの曲を録音してることは興味深い事実です。しかしフィオレンティーノと親交があったレコードプロデューサーのエルンスト・ルンペ氏によると、フィオレンティーノはこの曲を好きではなかったがレコード会社の要請により録音したとのことです。
ちなみにフィオレンティーノは1960年にロンドンでのリサイタルで一度この幻想曲で演奏するのですが、その時の聴衆にリスト弾きとも言えるケントナーやオグドンもいました。そしてそのことがオグドンがこの曲を学ぶきっかけとなったとのことです。
フランツ・リスト→カール・タウジヒ→ベニアミーノ・チェージ→アレッサンドロ・ロンゴ→パオロ・デンツァ→セルジオ・フィオレンティーノ
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Three
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume One
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December 01, 2010
Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume One
セルジオ・フィオレンティーノ
The Early Recordings Volume One
The Contemplative Liszt
1. "泣き、嘆き、憂い、おののき" 前奏曲 S.179
2-7. コンソレーション S.172 (全曲)
8. 灰色の雲 S.199
9. 悲しみのゴンドラ I S.200/1
10. 悲しみのゴンドラ II S.200/2
11. R.W.- ヴェネツィア S.201
12-15. 4つのピアノ小品 S.192/1-4
16. エレジー 第2番 S.197
17. ペテーフィの思い出に S.195
18. 眠られぬ夜! 問いと答え S.203i
19. 凶星! S.208
apr APR 5581
recorded: 1967/1962
〔メモ〕
「思索家リスト」と題されたフィオレンティーノの初期録音集第1巻です。個人的にはこのアルバムがフィオレンティーノの最高の一枚だと思っています。まさしく彼の本領はここにあるのでしょう。コンソレーションではホロヴィッツのようにチャーミングに振舞うかと思えばそうではなく、ゆったりとした詩的な解釈という点でオピッツの方に近いです。悲しみのゴンドラIIはミスタッチがあるために以前は発売されなかった音源で、このCDでの初発売です。そして灰色の雲は、指がつっかかりながら弾いているような解釈ですが、もはやここまでくれば技巧は関係ないと思ってしまう程の素晴らしさ。全てが素晴らしいです。全てが素晴らしいのですが、その中でも最高なのはエレジー第2番と凶星!です。これが芸術でないのなら何を芸術をいうのでしょうか。なりふり構わず音楽の中に潜む本質を鷲摑みにしているという点で、ケンプの伝説やユージナのバッハ変奏曲、そしてギンズブルグのジュネーヴの鐘と同様の世界観です。このような演奏を聴くと、彼岸という言葉を連想してしまうのは僕だけでしょうか。これはこの世に存在していい演奏ではありません。
フランツ・リスト→カール・タウジヒ→べニアミーノ・チェージ→アレッサンドロ・ロンゴ→パオロ・デンツァ→セルジオ・フィオレンティーノ
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Three
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Two
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Four
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The Early Recordings Volume One
The Contemplative Liszt
1. "泣き、嘆き、憂い、おののき" 前奏曲 S.179
2-7. コンソレーション S.172 (全曲)
8. 灰色の雲 S.199
9. 悲しみのゴンドラ I S.200/1
10. 悲しみのゴンドラ II S.200/2
11. R.W.- ヴェネツィア S.201
12-15. 4つのピアノ小品 S.192/1-4
16. エレジー 第2番 S.197
17. ペテーフィの思い出に S.195
18. 眠られぬ夜! 問いと答え S.203i
19. 凶星! S.208
apr APR 5581
recorded: 1967/1962
〔メモ〕
「思索家リスト」と題されたフィオレンティーノの初期録音集第1巻です。個人的にはこのアルバムがフィオレンティーノの最高の一枚だと思っています。まさしく彼の本領はここにあるのでしょう。コンソレーションではホロヴィッツのようにチャーミングに振舞うかと思えばそうではなく、ゆったりとした詩的な解釈という点でオピッツの方に近いです。悲しみのゴンドラIIはミスタッチがあるために以前は発売されなかった音源で、このCDでの初発売です。そして灰色の雲は、指がつっかかりながら弾いているような解釈ですが、もはやここまでくれば技巧は関係ないと思ってしまう程の素晴らしさ。全てが素晴らしいです。全てが素晴らしいのですが、その中でも最高なのはエレジー第2番と凶星!です。これが芸術でないのなら何を芸術をいうのでしょうか。なりふり構わず音楽の中に潜む本質を鷲摑みにしているという点で、ケンプの伝説やユージナのバッハ変奏曲、そしてギンズブルグのジュネーヴの鐘と同様の世界観です。このような演奏を聴くと、彼岸という言葉を連想してしまうのは僕だけでしょうか。これはこの世に存在していい演奏ではありません。
フランツ・リスト→カール・タウジヒ→べニアミーノ・チェージ→アレッサンドロ・ロンゴ→パオロ・デンツァ→セルジオ・フィオレンティーノ
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Three
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Two
関連記事:Sergio Fiorentino The Early Recordings Volume Four
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January 15, 2006
4人のリスト弾き
みなさんはリスト弾きと聞いて誰を思い浮かべるでしょうか?おそらくブレンデル、シフラ、アラウ、ボレット、ベルマン、ワッツなどの名前が挙がるのではないでしょうか。他にも全体のレパートリーの割合からしてリストを特別多く取り上げているわけではないけれど、素晴らしいリスト演奏をするピアニストとして、ホロヴィッツやリヒテルなどもあげられます。他にも挙げていけばキリがありません。このピアニスト達は第一線で活躍し、コンサートや録音でその演奏の素晴らしさによりリスト受容に決定的な影響を及ぼしてきました。もし彼らがいなかったら、おそらく「リストへの誤解」は現在のその半分も解かれていなかったでしょう。僕もこのピアニスト達の演奏は大好きでCDはよく集めています。しかし僕がひいきにしているリスト弾きとなるとなぜかまったく違うメンバーになってしまいます。
僕がひいきにしているリスト弾き4人は
●エゴン・ペトリ
ショーンバーグ曰く「今世紀最高のリスト弾き」です(「今世紀」というのはもちろん20世紀のこと)。ブゾーニ系ピアニストは素晴らしい人がたくさんいますが、そのブゾーニ系ピアニストの最高峰ではないでしょうか。音質は悪いですが、彼のリスト録音を初めて聴いた時は、その鮮烈な演奏に衝撃を受けました。
●グリゴリー・ギンズブルグ
ロシアにおける人気や知名度でリヒテル、ギレリスやソフロニツキー、ユージナなどの影に隠れてしまいますが、ギンズブルグは彼らに実力的には勝っても劣らないと信じています。オーソドックスで瑞々しく、いつまでも聴いていたいと思わせる演奏です。
●セルジオ・フィオレンティーノ
同じイタリアのミケランジェリはこの世には自分一人しかピアニストがいないと思っていたそうですが、レコードプロデューサーのE.ルンペ氏によるとそのミケランジェリはフィオレンティーノのことを「もう一人のピアニスト」と認めていたそうです。リストの楽曲は様々な曲種があり、それら全てに対応するのは至難の業です。しかしフィオレンティーノはそれができる。ソナタやバラードなどの大曲には真正面から取り組み最高の成果を挙げ、練習曲などでは鬼のようなエグい技巧をみせ(決して表面的ではない)、ハンガリー狂詩曲ではラプソディックに歌える。そして、コンソレーションや後期作品などで思索的な演奏ができる、という具合です。
●ジョセフ・ヴィラ
ヴィラの場合は技巧ばかりが注目されますが、それだけではないです。例えば愛の賛歌やアデライーデにおける詩的な歌と美しい音色。アラウに匹敵する包容力まで持ち合わせてます。もちろん超絶的な技巧も彼の一つの武器です。運命交響曲はあらゆる意味で素晴らしい。ちなみに彼のベートーヴェンのソナタも最高です。グレゴール・ベンコ氏による「彼がもし生きていたら現在の最も偉大なピアニストだった」という言葉に共感します。
これはリスト演奏に限定した、お気に入りのピアニストです。他の作曲家だと、また好きなピアニストは変ってきます。4人の共通点を考えたのですが、しいて言えば音楽をわかりやすく聴衆に理解させようとしている点ではないでしょうか。
みなさんはどんなリスト弾きをひいきにしていますか?
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僕がひいきにしているリスト弾き4人は
●エゴン・ペトリ
ショーンバーグ曰く「今世紀最高のリスト弾き」です(「今世紀」というのはもちろん20世紀のこと)。ブゾーニ系ピアニストは素晴らしい人がたくさんいますが、そのブゾーニ系ピアニストの最高峰ではないでしょうか。音質は悪いですが、彼のリスト録音を初めて聴いた時は、その鮮烈な演奏に衝撃を受けました。
●グリゴリー・ギンズブルグ
ロシアにおける人気や知名度でリヒテル、ギレリスやソフロニツキー、ユージナなどの影に隠れてしまいますが、ギンズブルグは彼らに実力的には勝っても劣らないと信じています。オーソドックスで瑞々しく、いつまでも聴いていたいと思わせる演奏です。
●セルジオ・フィオレンティーノ
同じイタリアのミケランジェリはこの世には自分一人しかピアニストがいないと思っていたそうですが、レコードプロデューサーのE.ルンペ氏によるとそのミケランジェリはフィオレンティーノのことを「もう一人のピアニスト」と認めていたそうです。リストの楽曲は様々な曲種があり、それら全てに対応するのは至難の業です。しかしフィオレンティーノはそれができる。ソナタやバラードなどの大曲には真正面から取り組み最高の成果を挙げ、練習曲などでは鬼のようなエグい技巧をみせ(決して表面的ではない)、ハンガリー狂詩曲ではラプソディックに歌える。そして、コンソレーションや後期作品などで思索的な演奏ができる、という具合です。
●ジョセフ・ヴィラ
ヴィラの場合は技巧ばかりが注目されますが、それだけではないです。例えば愛の賛歌やアデライーデにおける詩的な歌と美しい音色。アラウに匹敵する包容力まで持ち合わせてます。もちろん超絶的な技巧も彼の一つの武器です。運命交響曲はあらゆる意味で素晴らしい。ちなみに彼のベートーヴェンのソナタも最高です。グレゴール・ベンコ氏による「彼がもし生きていたら現在の最も偉大なピアニストだった」という言葉に共感します。
これはリスト演奏に限定した、お気に入りのピアニストです。他の作曲家だと、また好きなピアニストは変ってきます。4人の共通点を考えたのですが、しいて言えば音楽をわかりやすく聴衆に理解させようとしている点ではないでしょうか。
みなさんはどんなリスト弾きをひいきにしていますか?
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