ハンガリーの歴史的肖像

May 21, 2016

Apparitions - Consolations - Csardas, etc J.Swann

ジェフリー・スワン 

Apparitions - Consolations - Csardas, etc J.Swann 

swann

1. 顕現 第1番 S.155/1
2. 顕現 第2番 S.155/2 
3.-8. コンソレーション S.172 (全曲) 
9. 死のチャールダーシュ S.224 
10. チャールダーシュ S.225/1 
11. 執拗なチャールダーシュ S.255/1
12.-18. ハンガリーの歴史的肖像 S.205 (全曲) 
19. ハンガリー狂詩曲 第5番 S.244/5 
20. ハンガリー狂詩曲 第12番 S.244/12 

AGORA AG 090 
Recorded: 1990 

〔メモ〕 
一時期はリスト弾きとして名を上げたこともあるジェフリー・スワンのご紹介です。彼はアレクサンドル・ウニンスキー、ベヴァリッジ・ウェブスター、ジョゼフ・ブロック、アデル・マーカスに師事しました。ディノ・チアーニコンクール1位、エリザベートコンクール2位などコンクールでも活躍しました。
当ディスクはフランスのモンペリエで行われたフェスティバルにおける彼のコンサートのライブ録音を集めたものです。ライブ録音ゆえにミスタッチも散見されますが、即興性や生き生きとしたモノも感じられます。また個性を発現させることを恐れず、野心的な解釈も見られます。全体的に面白く聴けます。そしてレパートリーも珍しいものが多く含まれ顕現、チャールダーシュやハンガリーの歴史的肖像などは録音される機会の少ない曲であり、そういう意味でもこれは面白いアルバムですね。

彼はこのアルバムの他にピアノ協奏曲全集、巡礼の年全集、超絶技巧練習曲全曲、メフィストワルツ全曲などの録音があります。

フランツ・リスト→テオドール・リテール→イシドール・フィリップ→ベヴァリッジ・ウェブスター→ジェフリー・スワン
フランツ・リスト→コンスタンティン・シュテルンベルク→オルガ・サマロフ→ジョゼフ・ブロック→ジェフリー・スワン


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April 15, 2011

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.11

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
巡礼の年 第3年

Disc.11
  5つのハンガリー民謡 S.245
1. ラッシャン - レント
2. メールシェケールヴェ - アレグレット
3. ラッシャン - アンダンテ
4. キッシェー・エーレーンケン - ヴィヴァーチェ
5. ビューショングヴァ - レント
  ハンガリーの歴史的肖像 S.205
6. セーチェーニ・イシュトヴァーン
7. エトヴェシュ・ヨージェフ
8. ヴェレシュマルティ・ミハーイ
9. テレキ・ラースロー
10. デアーク・フェレンツ
11. ペテーフィ・シャーンドル
12. モショニ・ミハーイ
13. プスタの憂愁 S.246
14. ハンガリーの神 〔左手用編曲〕 S.543bis
  巡礼の年 第3年 S.163
15. アンジェルス! - 守護天使への祈り
16. エステ荘の糸杉に - 哀歌 I
17. エステ荘の糸杉に - 哀歌 II
18. エステ荘の噴水
19. ものみな涙あり - ハンガリー旋法で
20. 葬送行進曲 - マキシミリアンI世の思い出に (メキシコ皇帝, 1867年6月19日死去)
21. スルスム・コルダ - 心を高めよ

Hyperion CDA666448
Recorded: 1990

〔メモ〕
〔1〕~〔5〕リストはしばしばハンガリー民謡とジプシー音楽を混同し、それに対し批判を受けていた(ハンガリー狂詩曲など)。当曲集は本当のハンガリー民謡であり、それを編曲したもの。ハンガリー民謡探究については後世のバルトーク、コダーイの方が徹底している。 〔6〕~〔12〕19世紀のハンガリーの政治家や芸術家への音楽で綴った墓碑銘。ハンガリー国歌「賛称(Himnusz)」やハンガリー第2国歌に相当する「訓辞(Szózat)」からの引用あり。上記の人名表記は「姓→名」の順。 〔6〕優れた政治改革者で文筆家でもあった人物への思い出に。 〔7〕政治家への思い出に。 〔8〕ハンガリー第2国歌とも言える「訓辞(Szózat)」はエグレッシ作曲、詩人ヴェレシュマルティの歌詞によるものだが、その「訓辞」の主題を引用した作品。 〔9〕テレキは政治家、文筆家。不気味な葬送行進曲は彼の自殺を表現している。リストの「葬送行進曲 S.206/2」(Disc.19)の短縮稿。 〔10〕政治家、文筆家へ。足早な行進曲。 〔11〕偉大なる詩人へ。「ペテーフィの思い出に S.195」(Disc.19)の拡大稿。 〔12〕著名な作曲家へ。「モショニの葬送 S.194」(Disc.19)の拡大稿。 〔13〕リュドミラ・ザモイスカ伯爵夫人の作品をもとにしている。そのザモイスカの作品はレーナウの詩による。ラッシャン部とフリシュカ部がある小型ラプソディー。 〔14〕弟子で片腕のピアニストであるゲザ・ジチーのために作った編曲。リスト唯一の左手用ピアノ作品。両手稿はDisc.19に収録。 〔15〕~〔21〕通好みの傑作集。第1年、第2年と違い、第3年は晩年の作品。 〔15〕巡礼の年第3年は静寂とともに幕をあける。 〔16〕嘆きを表現した傑作エレジー。調性は希薄。 〔17〕エレジー。リストが「ミケランジェロがサンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会に最初の糸杉を植えた」という思い違いで書いた作品。リストはその思い違いに後で気付きタイトルを修正した。 〔18〕描写音楽であるとともに宗教音楽。「わたしが与える水はその人のうちで泉となり、永遠の命に至る水がわき出る」*というヨハネ福音書からの引用が掲げられている。ドビュッシー、ラヴェルへ与えた影響は大きく、リストはこの曲により「印象主義音楽の父」となった。ブゾーニが伝え聞くところによると、ドビュッシーはリスト本人によるこの作品の演奏を聴き仰天したとのこと。ちなみに原題は「Les jeux d'eaux à la Villa d'Este」だが、ラヴェルの「水の戯れ」の原題は「Jeux d'eau」である。 〔19〕エレジー。当初のタイトルは「ハンガリー哀歌」。タイトルはウェルギリウスの叙事詩「アエネーイス」より。 〔20〕自らの後釜となる人物に銃殺刑で処されたマキシミリアンI世を悼んで。プロペルティウスのエレジーが楽譜冒頭に掲げられている。曲種もエレジー。 〔21〕スルスム・コルダというのは聖餐式における「心を高めよ」という激励。嘆きや静寂で満たされた巡礼の年第3年はこの曲により晴れやかに終わる。

*引用元
作曲家◎人と作品シリーズ リスト
福田弥著
音楽之友社
P.191

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HMV : レスリー・ハワード リスト ピアノ作品全集
タワレコ : レスリー・ハワード リスト ピアノ作品全集 


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