スヴャトスラフ・リヒテル
September 26, 2012
リスト:超絶技巧練習曲、ため息/リヒテル
リスト:超絶技巧練習曲、ため息
1. ポロネーズ 第2番 S.223/2
2. スケルツォ S.153
3. 灰色の雲 S.199
4. コンソレーション 第6番 S.172/6
5. ハンガリー狂詩曲 第17番 S.242/17
6. ピアノ小品 S.193
7. メフィストポルカ S.217
超絶技巧練習曲 S.139 より
8. 第1番 前奏曲
9. 第2番
10. 第3番 風景
11. 第5番 鬼火
12. 第7番 英雄
13. 第8番 荒々しき狩
14. 第11番 夕べの調べ
15. 第10番
16. ため息 S.144/3
17. 小人の踊り S.145/2
Philips 438 623/2
Recorded: 1988
〔メモ〕
音楽だけでなく絵画、文学、演劇、映画にも強い関心のあったリヒテルによるリスト作品のライブ録音集です。70年代、80年代のリヒテルは鬱病や体調不良でコンサートをキャンセルすることも多かったそうです。にもかかわらずこのような意欲的な曲目の録音が残っていたのは幸いです。
このCDの目玉はおそらく超絶技巧練習曲でしょう。しかしリヒテルの超絶技巧練習曲の録音は他にもいくつかありますので、僕個人にとっては別のところに目がいきます。例えば「リストの後期作品を予見しているような作品」と言われる「スケルツォ」や、美しいノクターン風の曲である「ピアノ小品 S.193」は録音される機会は滅多にありません。リヒテルは非常に優れたサイトリーダー(楽譜を初見で即座に演奏できる人)だったので、多くの曲を吟味しレパートリーに加えていったのではないでしょうか。このチョイスはリヒテルならではの強いこだわりが感じられます。灰色の雲、コンソレーション、ピアノ小品におけるピュアな美しさは特筆に値します。雄大な夕べの調べも良い。
ちなみにデジュー・ラーンキも「ピアノ小品 S.193」を以前からよく演奏しています。リヒテルはラーンキを非常に高く評価していました。もしかしてラーンキの演奏でリヒテルはこの曲を知った可能性もあるのでしょうか?
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ゲンリヒ・ネイガウス→スヴャトスラフ・リヒテル
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May 28, 2012
Great Pianists of The 20th Century Vol.84
スヴャトスラフ・リヒテル 3
Disc.1
1.-3. ピアノ協奏曲 第2番 Op.18 (ラフマニノフ)<59>*
4. 前奏曲 Op.32/1 (ラフマニノフ)<59>
5. 前奏曲 Op.32/2 (ラフマニノフ)<59>
6. 前奏曲 Op.23/2 (ラフマニノフ)<59>
7. 前奏曲 Op.23/4 (ラフマニノフ)<59>
8. 前奏曲 Op.23/5 (ラフマニノフ)<59>
9. 前奏曲 Op.23/7 (ラフマニノフ)<59>
10. 練習曲 Op.2/1 (スクリャービン)<52>
11. 練習曲 Op.8/5 (スクリャービン)<52>
12. 練習曲 Op.42/2 (スクリャービン)<52>
13. 練習曲 Op.42/3 (スクリャービン)<52>
14. 練習曲 Op.42/4 (スクリャービン)<52>
15. 練習曲 Op.42/5 (スクリャービン)<52>
16. 練習曲 Op.42/6 (スクリャービン)<52>
17. 練習曲 Op.8/11 (スクリャービン)<52>
18. 練習曲 Op.42/8 (スクリャービン)<52>
19. 練習曲 Op.65/1 (スクリャービン)<52>
20. 練習曲 Op.65/2 (スクリャービン)<52>
21. 練習曲 Op.65/3 (スクリャービン)<52>
Disc.2
1.-9. 森の情景 Op.82 (全曲)(シューマン)<56>
10. 夕べに Op.12/1 (シューマン)<59>
11. 飛翔 Op.12/2 (シューマン)<59>
12. なぜに Op.12/3 (シューマン)<59>
13. 夜に Op.12/5 (シューマン)<59>
14. 夢のもつれ Op.12/7 (シューマン)<59>
15. 歌の終わり Op.12/8 (シューマン)<59>
16. トッカータ Op.7 (シューマン)<59>
17.-19. 幻想曲 Op.17 (シューマン)<61>
*スタニスラフ・ヴィスロツキ指揮/ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団
音源: DG, BMG, EMI
Philips 456 952-2
〔メモ〕
1945年に全ソ連コンクールに優勝、1949年にはスターリン国家賞を受賞したリヒテルの2枚組です。森の情景の録音についてアメリカの高名な批評家ハロルド・ショーンバーグは“このシューマンの魅力的だがあまり知られていない9つの森の小品集である「森の情景」はこの演奏を超える素晴らしさのものが現れるのであろうか”と絶賛しています。ここに収録されているシューマン録音は音質も良く、これだけの録音が残っているのは幸運でした。一方スクリャービンはライブ録音故に音質としては劣りますが、ライブならではの燃焼度100%な演奏で、人智を超越したものがリヒテルに憑依しているかのような演奏です。どれもこれも素晴らしい演奏ですが特に素晴らしいのはラフマニノフの第2協奏曲で、個人的意見を言わせてもらえばこの演奏は曲が本来持っている魅力を飛び越えているように思います。宇宙的な広大さを感じます。
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ゲンリヒ・ネイガウス→スヴャトスラフ・リヒテル
フランツ・リスト→カール・タウジヒ→アレクサンドル・ミハウォフスキ→ゲンリヒ・ネイガウス→スヴャトスラフ・リヒテル
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May 21, 2012
Great Pianists of The 20th Century Vol.83
スヴャトスラフ・リヒテル 2
Disc.1
1.-9. ピアノソナタ 第12番 Op.26 (ベートーヴェン)<60>
10.-12. ピアノソナタ 第17番 テンペスト Op.31/2 (ベートーヴェン)<61>
13.-15. ピアノソナタ 第23番 熱情 Op.57 (ベートーヴェン)<60>
16. アンダンテ・ファヴォリ WoO57 (ベートーヴェン)<78>
Disc.2
1. ピアノと管弦楽のためのロンド WoO6 (ベートーヴェン)<62>*
2.-4. ピアノソナタ 第30番 Op.109 (ベートーヴェン)<91>
5.-8. ピアノソナタ 第31番 Op.110 (ベートーヴェン)<91>
9.-11. ピアノソナタ 第32番 Op.111 (ベートーヴェン)<91>
*クルト・ザンデルリンク指揮/ウィーン交響楽団
音源: BMG, EMI, DG, Philips
Philips 456 949-2
〔メモ〕
リヒテルは始めはオデッサ音楽院で指導していた父テオフィル・リヒテルに学びますが、本格的なピアノ教育は彼が18歳の頃から始まりました。そしてその後1937年にモスクワ音楽院にてロシアの偉大なるピアノ教師であるゲンリヒ・ネイガウスに師事することとなります。リヒテルは他のピアニストたちの尊敬も集めていましたが、同じく偉大なピアニストであるジュリアス・カッチェンやラザール・ベルマンはリヒテルのことを「non pareil」(比類なきピアニスト)と称賛しました。
ベートーヴェン作品の演奏だけでなく、リヒテルの演奏は全てを包み込む「大きさ」を感じます。ではリヒテルの演奏は何を内包しているのでしょうか。人生の喜び、苦しみ、愛、死など様々な要素を内包しているように感じます。リヒテルの演奏は人生を高らかに歌う人間賛歌だ、と言うのは大袈裟でしょうか?彼のベートーヴェンを聴いている時に特にそう感じました。
リヒテルは僕の最も好きなピアニストです。
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ゲンリヒ・ネイガウス→スヴャトスラフ・リヒテル
フランツ・リスト→カール・タウジヒ→アレクサンドル・ミハウォフスキ→ゲンリヒ・ネイガウス→スヴャトスラフ・リヒテル
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May 14, 2012
Great Pianists of The 20th Century Vol.82
スヴャトスラフ・リヒテル 1
Disc.1
1.-14. 展覧会の絵 (ムソルグスキー)<58>
15. 楽興の時 第1番 D.780/1 (シューベルト)<58>
16. 即興曲 D.899/2 (シューベルト)<58>
17. 即興曲 D.899/4 (シューベルト)<58>
18. 練習曲 Op.10/3 別れの曲 (ショパン)<58>
19. 忘れられたワルツ 第1番 S.215/1 (リスト)<58>
20. 忘れられたワルツ 第2番 S.215/2 (リスト)<58>
21. 超絶技巧練習曲 第5番 鬼火 S.139/5 (リスト)<58>
22. 超絶技巧練習曲 第11番 夕べの調べ S.139/11 (リスト)<58>
23. 前奏曲 Op.32/12 (ラフマニノフ)<58>
Disc.2
1.-4. ピアノソナタ 第6番 戦争ソナタ Op.82 (プロコフィエフ)<?>
5.-7. ピアノソナタ 第7番 戦争ソナタ Op.83 (プロコフィエフ)<?>
8.-10. ピアノソナタ 第8番 戦争ソナタ Op.84 (プロコフィエフ)<61>
音源: Phonogram France, BMG, DG
Philips 456 946-2
〔メモ〕
リヒテルが出国をソヴィエトに許可されなかった時代、先に出国を許可されていたエミール・ギレリスやソヴィエト国内でリヒテルの演奏を聴く機会に恵まれたヴァン・クライバーンなどによって「リヒテルというすごいピアニストがいるらしい」という噂は国外へ伝わっていきました。リヒテルの西側での初めての演奏会は1956年のプラハフェスティバルです。そしてその2年後の1958年に行った伝説のリサイタルがこのディスク1に収録されているソフィア・リサイタルです。このリサイタルによってリヒテルは世界的に存在感を見せつけることになります。
「展覧会の絵」はラヴェルによる管弦楽編曲は認められていましたが、当時ピアノ独奏のオリジナルはそれほど定着してはいませんでした。(もちろんリヒテルより前に演奏してる人もいましたが、)「展覧会の絵」ピアノ版の本当の魅力を露わにしたのはリヒテルの演奏だと言われています。録音状態は悪い、ミスタッチも多い。でもそんなことは関係ありません。全身全霊を込めた入魂の演奏に心を揺さぶられます。
プロコフィエフもリヒテルと関連深い作曲家であり、リヒテルは1943年に第7ソナタの初演を作曲者自らに任されました。
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ゲンリヒ・ネイガウス→スヴャトスラフ・リヒテル
フランツ・リスト→カール・タウジヒ→アレクサンドル・ミハウォフスキ→ゲンリヒ・ネイガウス→スヴャトスラフ・リヒテル
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December 06, 2011
Richter - Liszt: Piano Works
スヴャトスラフ・リヒテル
Liszt: Piano Works
1. 葬送曲 S.173/7
2. 小人の踊り S.145/2
3. 愛の夢 第2番 S.541/2
4. 愛の夢 第3番 S.541/3
5. 忘れられたワルツ 第1番 S.215/1
6. 忘れられたワルツ 第2番 S.215/2
7. 忘れられたワルツ 第3番 S.215/3
8. メフィストワルツ 第1番 S.514
9. エステ荘の糸杉にⅠ S.163/2
10. 鬼火 S.139/5
11. ハンガリー狂詩曲 第17番 S.244/17
REVELATION RV 10011
Recorded: 1958
〔メモ〕
リヒテルのレパートリーにしては珍しい曲目が収録されているディスクを紹介します。アシュケナージは熱心なリヒテルファンだったらしく、「リヒテルのコンサートを聴きに行ける時はいつでも聴きに行った」とまで言っています。さらにこう続けます「私は彼の演奏に常に賛同できたわけではない。しかし彼の演奏中には納得させられてしまう」。常に賛同できないけど納得させられてしまうというのはまったく僕も同感です。時には荒々しすぎて困惑してしまいますが、その演奏にはあたかも催眠術をかけて聴衆を納得させてしまうような不思議な力がみなぎっています。それから「どこまでも技巧を爆発させても音楽自体がエンターテインメント性を帯びず真面目」という印象をうけます。僕はただリヒテルの催眠術に陶酔することしかできません。
最も素晴らしいと思ったのは傑作エレジーである「エステ荘の糸杉にⅠ」で、これは尋常な演奏ではありません。心をえぐられます。
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ゲンリヒ・ネイガウス→スヴャトスラフ・リヒテル
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July 12, 2011
Liszt - The Two Piano Concertos - Richter
Liszt - The Two Piano Concertos - The Piano Sonata
1.-4. ピアノ協奏曲 第1番 S.124*
5.-8. ピアノ協奏曲 第2番 S.125*
9.-11. ピアノソナタ S.178
*キリル・コンドラシン指揮/ロンドン交響楽団
Philips 446 200-2
Recorded: 1961/1966
〔メモ〕
リヒテルとコンドラシンによるリストの2つの協奏曲といえば、定盤中の定盤であり問答無用の名盤です。この演奏はべヒシュタインのピアノを使って演奏されたそうです。演奏の素晴らしさもさることながら、この録音はいろいろな意味で貴重です。「リヒテル全盛期」で「スタジオ録音」で「録音が素晴らしい」「リスト録音」という条件を揃えているのはこの録音だけです。
言わせてもらえればこの演奏は曲本来が持っている魅力を飛び越えているような奇蹟的な演奏。豪快でありながら繊細でもあり、厳格でありながら爽快でもある、いわゆるありとあらゆる要素を含んだ演奏です。やっぱりリヒテルは偉大だ!
「日々雑録 または 魔法の竪琴」さんや「Blogout」さんでも同じ盤を紹介されてますが、ロ短調ソナタの録音はリヴォルノライヴとのことです。いろいろ勉強になります。
ちなみにリヒテルとコンドラシンによるリストの2つの協奏曲はライヴ録音もあります。
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ゲンリヒ・ネイガウス→スヴャトスラフ・リヒテル
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March 08, 2011
Richter plays Liszt (live, 1956-1961)
Richter plays Liszt (live, 1956-1961)
超絶技巧練習曲 S.139 より
1. 第1番 前奏曲
2. 第2番
3. 第3番 風景
4. 第5番 鬼火
5. 第11番 夕べの調べ
6. ポロネーズ 第2番 S.223/2
7. ハンガリー幻想曲 S.123*
8. ピアノ協奏曲 第2番 S.125*
9. 葬送曲 S.173/7
*ヤーノシュ・フェレンチク指揮/ハンガリー国立交響楽団
Music & Arts CD 945
Recorded: 1956/1961/1958
〔メモ〕
リヒテルのプラハライブとブダペストライブをカップリングしたディスクのご紹介です。僕はリヒテルの演奏するリストに限って言えば、50年代の録音が一番好きです。ロシアの元祖・大ピアニストとも言えるアントン・ルビンシテインはミスタッチを恐れないかなり荒々しい演奏をしていたようですが、リヒテルのこの時代の演奏はルビンシテインのものに近いのではないかと推測します(手がでかいという共通点もあり)。一曲目から爆発力のある演奏で圧倒されます。特にすごいのはポロネーズとハンガリー幻想曲でしょうか。ハンガリー幻想曲ではピアノとオーケストラが丁々発止の掛け合いを見せていて、こんなにスリリングな演奏は他に見当たりません。
リヒテルは自分の録音を聴くのがあまり好きではなかったのですが、このハンガリー幻想曲は例外で自身でも好んで聴いていたようです。
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ゲンリヒ・ネイガウス→スヴャトスラフ・リヒテル
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August 19, 2010
SVIATOSLAV RICHTER joue Franz Liszt
スヴャトスラフ・リヒテル
SVIATOSLAV RICHTER joue Franz Liszt
1. ピアノソナタ S.178
2. 葬送曲 S.173/7
超絶技巧練習曲 S.139 より
3. 第1番 前奏曲
4. 第2番
5. 第3番 風景
6. 第5番 鬼火
7. 第7番 英雄
8. 第8番 荒々しき狩
9. 第10番
10. 第11番 夕べの調べ
PALEXA CD-0537
recorded: 1965/1958/1956
〔メモ〕
“私はリヒテルの自発性に圧倒された。1940年代と50年代のリヒテルのピアニズムの自発性というものはピアノ演奏史における特異な現象であったとはっきり申し上げておきたい”
ピアニスト、ラザール・ベルマンはリヒテルについてこのように語っています。ベルマンに超絶技巧練習曲を弾かせるきっかけを作ったのはリヒテルなのではないでしょうか。僕はリヒテルがこの曲集の全曲を演奏しなかったことに対して常々残念に思っていました。リヒテルは好き嫌いのはっきりしたピアニストで、例えば第12番の雪あらしに明らかな嫌悪感を示していました。ラザール・ベルマンが12曲すべてを録音したことは、あたかもリヒテルの仕事を受け継いで完成させたかのように感じてしまいます。真似をしているわけではないですが、音楽の大まかな流れが似ているように感じました。
リヒテルが影響を与えたピアニストと言えば、もう一人アシュケナージがいます。アシュケナージはリヒテルのコンサートに何度も足を運んでいるため、おそらくリヒテルの超絶技巧練習曲の演奏も聞いているのではないでしょうか。アシュケナージはdeccaレーベルにこの曲集を抜粋で録音しています。曲目は1、2、3、5、8、10、11番です。上記のリヒテルの抜粋と比べてみると7番がないだけでほぼ同じです。この曲集に関してはアシュケナージもベルマンもリヒテルの影を追い求めていたのではないでしょうか?
超絶技巧練習曲だけでなくソナタも葬送曲もやはり特別な演奏。リヒテルのずば抜けた集中力は演奏に哲学的な深さを感じさせてくれます。
ただし、このモスクワライブの超絶技巧練習曲は音が悪すぎる。しかも僕のディスクだけかもしれませんが、音飛びがあります。曲数は減ってしまいますが、プラハライブの方が音はいいです。
余談ですが、以前「マイナーレーベルが出すリヒテルのリスト録音はレアになりがち」だと書いたことがありますが、このディスクもそんなに古いものではないのに、すでに品薄状態になりつつあります。なんでもっと多くプレスしとかないの?プレス枚数に制限か何かあるのでしょうか?
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ゲンリヒ・ネイガウス→スヴャトスラフ・リヒテル
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