ケントナー

March 14, 2016

KENTNER: The pioneering Liszt recordings Vol.2

ルイス・ケントナー

LOUIS KENTNER: The pioneering Liszt recordings Volume 2

kentner2

1. ウィーンの夜会 第6番 〔第2版〕 S.427/6iii (シューベルト=リスト)
2. パガニーニによる大練習曲 第2番 オクターブ S.141/2
3. パガニーニによる大練習曲 第3番 ラ・カンパネラ S.141/3
4. パガニーニによる大練習曲 第5番 狩り S.141/5 
5. ラ・レジェレッツァ S.144/2
6. 小人の踊り S.145/2
7. 愛の夢 第3番 S.541/3
8. 鬼火 S.139/5
9. ゴンドラ漕ぎの女 S.162/1
10. タランテラ S.162/3 
11. R.W. - ヴェネツィア S.201
12. 夢の中で S.207 
13. 死のチャールダーシュ S.224
14. 《預言者》の描写 第2番 スケートをする人々 S.414/2 (マイアベーア=リスト)

apr APR 5614
Recorded: 1937-1951 

〔メモ〕
ルイス・ケントナーによる先駆的リスト録音集の第2弾です。リスト直系ピアニストのアルノルド・セーケイに師事しました。同じくリスト直系のバルトークとも深い親交を結び、バルトーク作品の初演をいくつか行いました。これら録音はケントナーがコロムビアレーベルに残したものですが、当時はリスト作品の評価は低く、これだけのリスト録音をすることはリスクを伴うものでした。実際これら録音は近年になるまで無視され続けてきたそうです。「R.W.」「夢の中で」「死のチャールダーシュ」「預言者の描写」は世界初録音ですが、これらの当時珍しい作品を録音できたのはリスト愛の為せる業でしょう。最終的にケントナーの地道な活動がリスト受容に与えて影響は大きいと思います。
演奏の方は口当たりの良いシャンパンのような爽やかなタッチで音楽が紡がれています。イギリスの作曲家コンスタント・ランバートは「(ケントナーのように)パワーに溢れ、それと同時にデリカシーや音色の微細な変化を持ったピアニストは聴いたことがない。彼を数少ない第一級のピアニストに数え上げることに私は何の躊躇もしない」とケントナーの演奏を讃えています。  

フランツ・リスト→イシュトヴァーン・トマーン→アルノルド・セーケイ→ルイス・ケントナー

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March 20, 2012

Liszt: Transcendental Etudes: Kentner

ルイス・ケントナー 

Liszt: Transcendental Etudes / En Réve 

kentner etude

  超絶技巧練習曲 S.139
1. 第1番 前奏曲 
2. 第2番
3. 第3番 風景 
4. 第4番 マゼッパ 
5. 第5番 鬼火 
6. 第6番 幻影 
7. 第7番 エロイカ 
8. 第8番 荒々しき狩 
9. 第9番 回想 
10. 第10番 
11. 第11番 夕べの調べ 
12. 第12番 雪あらし
13. 夢の中で S.207 

Carlton Classics 30371 00562  
Recorded: ?  

〔メモ〕
往年のリスト弾きであるケントナーの超絶技巧練習曲です。彼はリスト直系ピアニストであるアルノルド・セーケイにピアノを師事し、作曲はコダーイに師事し、得意なレパートリーは主にリストとバルトークでした。

ショパン、シューマン、リストと言えばロマン派を代表する巨人たちであり、生年も近くそれぞれのピアノ曲の対比も面白いです。ショパンの練習曲は24の長短調によるそれぞれコンパクトな練習曲という体裁を保ちながら芸術性を極限まで高めた傑作です。シューマンの交響的練習曲は変奏曲という形式をとった大曲であり、これもシューマンの傑作と目されています。同じく傑作とされているリストの超絶技巧練習曲ですが、リストは「練習曲」という名前にあまりこだわっていないように感じられます。第1番は文字通りプレリュードだし、3番、9番のようなノクターン風の曲あり、物語を追っていくかのようなドラマ的な「マゼッパ」あり、バラードなどに匹敵する内容の充実度を見せる「夕べの調べ」もあります。「鬼火」や「雪あらし」も練習曲に近いですが、そのタイトルを表す描写的な小品とも言えます。一方でタイトルのない2番、10番は紛れもない練習曲ですね。

ここでのケントナーの演奏は、その大仰さがマゼッパのドラマ性を増幅し、夕べの調べにさらなる内容の重みを加えています。

そして後期作品で美しいノクターンである「夢の中で」は20世紀中盤まではほとんど知られていない小品でしたが、ケントナーはこの曲を取り上げた最初期のひとりでしょう。柔らかな音色の美しい演奏。

フランツ・リスト→イシュトヴァーン・トマーン→アルノルド・セーケイ→ルイス・ケントナー

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December 13, 2011

Dohnányi, Bartók, A.Fischer, Kentner, Cziffra play Liszt

エルンスト・フォン・ドホナーニ
ベーラ・バルトーク 
アニー・フィッシャー
ルイス・ケントナー 
ジョルジュ・シフラ 

Dohnányi, Bartók, A.Fischer, Kentner, Cziffra play Liszt 

Hungaroton Liszt

1. コンソレーション 第3番 S.172/3 <56>* 
2. スルスム・コルダ S.163/7 <36>"
3. ピアノソナタ S.178 <53>#
4. 森のざわめき S.145/1 <66>$
5. 小人の踊り S.145/2 <66>$
6. ラ・カンパネラ S.141/3 <66>$ 
7. 半音階的大ギャロップ S.219 <55>! 
8. エステ荘の噴水 S.163/4 <55>! 
9. ハンガリー狂詩曲 第6番 S.244/6 <56>!
10. 忘れられたワルツ 第1番 S.215/1 <55>! 
11. ハンガリー狂詩曲 第15番 - ラーコーツィ行進曲 S.244/15 <56>!

*エルンスト・フォン・ドホナーニ
"ベーラ・バルトーク
#アニー・フィッシャー
$ルイス・ケントナー 
!ジョルジュ・シフラ 

HUNGAROTON CLASSIC HCD 32704 

〔メモ〕
ハンガリーを代表するレーベルといってもよいフンガロトンがフランツ・リスト生誕200年を記念するかのように発売したディスクです。ハンガリー・リスト楽派を俯瞰するようなコンピレーションです。

・エルンスト・フォン・ドホナーニ (ハンガリー名:エルネー・ドホナーニ)
ダルベール、トマーンの弟子であるドホナーニは、彼がコンサートピアニストとして活躍していた当時「現代最高のピアニスト」という評価を得ました。トマーンは「私が最も誇りとしていることのひとつは、偉大な音楽家であるフランツ・リストを我が師としていたことである。そしてそれと同等に誇りとしていることとして、偉大な音楽家ドホナーニを我が弟子としていたことがある」と語っています。
フランツ・リスト→イシュトヴァーン・トマーン→エルンスト・フォン・ドホナーニ
フランツ・リスト→オイゲン・ダルベール→エルンスト・フォン・ドホナーニ

・ベーラ・バルトーク
イシュトヴァーン・トマーンの弟子であるバルトークは「第2のドホナーニ」という評価を得ていたこともあります。リストに関する講義を行ったり、コンサートで多くのリスト作品を取り上げたバルトークは、(ブゾーニとともに)20世紀のリスト再評価の立役者です。デヴィッド・デュバルによるとスルスム・コルダはバルトークお気に入りの曲とのこと。
フランツ・リスト→イシュトヴァーン・トマーン→ベーラ・バルトーク

・アニー・フィッシャー
ドホナーニとアルノルド・セーケイの弟子のアニー・フィッシャーは、ドホナーニが組織したブダペストの第1回リストコンクールの覇者です。ドホナーニやバルトークの次の世代のハンガリーピアニストを代表するひとりです。ここでのロ短調ソナタはベートーヴェン作品のように響きます。
フランツ・リスト→イシュトヴァーン・トマーン→エルンスト・フォン・ドホナーニ→アニー・フィッシャー
フランツ・リスト→イシュトヴァーン・トマーン→アルノルド・セーケイ→アニー・フィッシャー

・ルイス・ケントナー (ハンガリー名:ラヨシュ・ケントネル)
アルノルド・セーケイの弟子で、バルトークとリスト作品のスペシャリストで、イギリス・リスト協会の会長だったケントナーです。アニー・フィッシャーが優勝したリストコンクールで第3位に入賞しています。ちなみに彼の最初の妻であるイロナ・カボシュもハンガリー・リスト楽派の重要人物です。彼女はピーター・フランクル、ハワード・シェリー、ジョン・オグドン、クン・ウー・パイクなどを教えたこともあります。
フランツ・リスト→イシュトヴァーン・トマーン→アルノルド・セーケイ→ルイス・ケントナー 

・ジョルジュ・シフラ (ハンガリー名:ジェルジ・シフラ)
ドホナーニやジェルジ・フェレンチの弟子シフラです。「リストの再来」と言われたこともあります(ただし「リストの再来」という謳い文句は頻繁に使われる。例:リヒテル、ミケランジェリ、ホロヴィッツ、ベルマンなど)。シフラについてはいまさら説明は必要ないでしょう。
フランツ・リスト→イシュトヴァーン・トマーン→エルンスト・フォン・ドホナーニ→ジョルジュ・シフラ
フランツ・リスト→イシュトヴァーン・トマーン→ジェルジ・フェレンチ→ジョルジュ・シフラ 

・イシュトヴァーン・トマーン
録音はありませんが、このディスクの影の主役はトマーンです。ロシアにリストのピアニズムを伝播したのはジロティです。いわばジロティはロシアにおける「リストのピアニズムの伝道者」だったわけですが、ハンガリーにおけるその役目を果たしたのはトマーンに他なりません。


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August 02, 2011

Vox Legends: Kentner plays Liszt

ルイス・ケントナー

Louis Kentner plays Liszt Solo Piano Music

kentner vox

Disc.1
1. 詩的で宗教的な調べ S.154
2. エレジー 第2番 S.197
3. 顕現 第1番 S.155/1
4. 孤独の中の神の祝福 S.173/3
5. 灰色の雲 S.199
6. 悲しみのゴンドラⅠ S.200/1
7. バラード 第2番 S.171
8. 5つのハンガリー民謡 S.245

Disc.2
1. 《ドン・ジョヴァンニ》の回想 S.418 (モーツァルト=リスト)
2. 《さまよえるオランダ人》より紡ぎの合唱 S.440 (ワーグナー=リスト)
3. 《ルチア》と《パリジーナ》の主題による演奏会用ワルツ S.214/3 (ドニゼッティ=リスト)
4. 4つの小品 S.192/1-4
5. 《真夏の夜の夢》より結婚行進曲と妖精の踊り S.410 (メンデルスゾーン=リスト)
6. 《ファウスト》のワルツ S.407 (グノー=リスト)

VOX BOX CDX2 5503
Recorded: 1960’s-1970’s

〔メモ〕
ピアニストとしての師はリスト直系のアルノルド・セーケイで、作曲の師はゾルタン・コダーイだったケントナーです。イギリスのリスト協会の元会長でハワードの前任者だった彼ですが、さすが一曲目からなんともマニアックな作品を持ってきています。この曲は「死者の追憶」の初稿です。この曲を選んだ目の付けどころが素晴らしい。演奏は感情表現が強く、テンポの揺れがあります。曲がケントナーの特性に合えば素晴らしい効果を上げています。個人的には最も素晴らしいと思ったのは、ハンガリー民謡と4つの小品です。これら小品集でもボリューム感があり、聴き終わった後に満足感が残ります。他にも顕現やエレジーなどを取り上げ、ブレンデルなどより先にこれらリストの思索的作品の再興に取り組んでいたピアニストと言えるでしょう。リスト・ルネサンスの立役者の一人です。

ちなみにハンガリー民謡と4つの小品はなぜかトラック分けがされてません。

VoxにはいまだにCD化されていないケントナーのリスト録音が大量にあります。ハンガリー狂詩曲全集、(通称)ルーマニア狂詩曲、スペイン狂詩曲、演奏会用練習曲全集などです。早くしてください。

フランツ・リスト→イシュトヴァーン・トマーン→アルノルド・セーケイ→ルイス・ケントナー 

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April 06, 2011

Louis Kentner: The pioneering Liszt recordings

ルイス・ケントナー

The pioneering Liszt recordings

kentner 1

1. ハンガリー狂詩曲 第2番 S.244/2
2. バラード 第2番 S.171
3. 孤独の中の神の祝福 S.173/3
4. 子守歌 S.174ii
5. ポロネーズ 第1番 S.223/1
6.-7. スケルツォと行進曲 S.177
8. ハンガリー狂詩曲 第9番 ペシュトの謝肉祭 S.244/9

apr APR 5541
Recorded: 1937-1941

〔メモ〕
イギリスのリスト協会の会長としてはレスリー・ハワードの前任者であり、ハンガリー系イギリス人のケントナーです。彼の重要な師はアルノルド・セーケイであり、そのセーケイはリストの高弟イシュトヴァーン・トマーンの弟子なので、ケントナーはリスト直系のピアニストと言っていいでしょう(リスト→トマーン→セーケイ→ケントナー)。イギリス・リスト協会創設メンバーの一人であるコンスタント・ランバートに「彼はペトリに次ぐリスト弾きである」と言われています。
ケントナーは現在の知名度はかなり低いと思います。それはおそらく彼の演奏に派手さが無いからだと思います。ここでの演奏は卓越した技巧を持ち非常にシンプルな解釈で仕上げています。それは彼の信念に基づいているのです。その彼の信念というのは「ピアニストは作曲者の忠実な代弁者でなければならない」というものです。このように無駄な力みの無い絶妙な演奏も僕は好きです。

リヒテル、ブレンデル、ポリーニなどが取り上げて、現在では頻繁にリサイタルの曲目として取り上げられるリスト作品の一つとなった「灰色の雲」ですが、この曲を公の場で演奏したのはケントナーが初です。そしてこの録音集も多くが世界初録音です。彼の活動はまさに先駆的な仕事と言えるでしょう。

フランツ・リスト→イシュトヴァーン・トマーン→アルノルド・セーケイ→ルイス・ケントナー 

アマゾン別リンク:ケントナー/先駆的リスト録音集

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