書籍関連
February 03, 2011
リストの定盤
● リヒテルの2つの協奏曲
コンドラシンとの共演でフィリップスが出してたものです。定番中の定番。演奏も文句なし。
● ベルマンの超絶技巧練習曲
1963年のメロディア音源です。アラウの名盤もありますが、紹介される頻度はこちらが多いです。Victor盤は廃盤なので、入手したい場合はVenezia盤がいいでしょう。(ただ若干ピアノの音が不自然で録音が残念)
● ワッツのパガニーニ大練習曲
Sony盤の旧録とEMI盤の新録があり、どちらもよく紹介されます。頻度としては新録の方がよく紹介される印象です。演奏も王道で素晴らしい。
● シフラのハンガリー狂詩曲
EMIの録音で言うと、モノラルの旧録(1番~15番)と、ステレオの新録(1番~16番、19番)の2種類があります。どちらもよく紹介されますが、個人的には音は悪いけど旧録のほうがしっくりきます。
上記4点は「もう殿堂入りにしてもいいんじゃないか?」というくらい頻繁に紹介されます。
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その他票が割れるものに以下のようなものがあります。
● ロ短調ソナタ
アルゲリッチ、ホロヴィッツ、アラウなどがよく挙げられるでしょう。アラウのフィリップスへのスタジオ録音は2種類あり、1970年の旧録の方がよくおすすめされる傾向にあります。
● 巡礼の年
ブレンデル(第1年、第2年、第3年抜粋)、ボレット(第1年、第2年、第2年補遺、エステ荘の噴水)、ベルマン(完全全曲)などに票がわかれます。どれも甲乙つけがたい。
● 詩的で宗教的な調べ
それからリストの代表的な曲集といえば他に「詩的で宗教的な調べ」がありますが、最近は増えてきたとはいえ、以前はなかなか全曲盤が発売されませんでした。なのでこの曲集の定盤と呼べるものはありません。チッコリーニの1990年の新録を国内版、輸入版問わず頻繁に流通させておけば定盤になりえたかもしれないのに…。この音源は現在でも5枚組ボックスや56枚組ボックスなどでしか売ってないので、単独で買えません。新録の方はCD1枚に収録できないという点も、発売を妨げてた理由かもしれないですね。旧録は単独で売られていましたが音が悪い。
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November 19, 2010
ピアノの本
オールソン/ピアノ協奏曲1番、2番
クリダ/ピアノ協奏曲1番、2番
ジャニス/ピアノ協奏曲1番、ハンガリー狂詩曲6番
アラウ/ロ短調ソナタ・孤独の中の神の祝福、他
アルゲリッチ/ロ短調ソナタ
ホロヴィッツ/ロ短調ソナタ
ベルマン/超絶技巧練習曲
アラウ/超絶技巧練習曲
シフラ/ハンガリー狂詩曲集
カンパネッラ/ハンガリー狂詩曲集
シドン/ハンガリー狂詩曲集
ワッツ/パガニーニ大練習曲
カンパネッラ/死の舞踏、ハンガリー幻想曲
クリダ/死の舞踏、ハンガリー幻想曲
ベルマン/巡礼の年
アラウ/ヴェルディパラフレーズ集
アシュケナージ/メフィストワルツ、超絶技巧練習曲
ベルマン/シューベルト歌曲編曲集
ホロヴィッツ/ハンガリー狂詩曲19番
デュシャーブル/愛の夢、メフィストワルツ、他
チッコリーニ/2つの伝説、愛の夢、他
以前も70年代の本を取り上げたことがありますが、やはりリストの名盤紹介となると大きく変わるものではありませんね。現在と違うところはミケーレ・カンパネッラとフランス・クリダが比較的多く取り上げられることくらいでしょうか。
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September 24, 2010
ピアノ名曲名盤100
ピアノ協奏曲 第1番
・アルゲリッチ/アバド
・オールソン/アッツモン
・ベルマン/ジュリーニ
死の舞踏
・カンパネッラ/チェッカート
・ワッツ/ラインスドルフ
・ブレンデル/ハイティンク
愛の夢
・チッコリーニ
・エストリン
・ケフェレック
・クリダ
ラ・カンパネラ
・ワッツ
・シフラ
・オグドン
・マガロフ
・アニエヴァス
ピアノソナタ
・ホロヴィッツ
・アラウ
・アルゲリッチ
・コルトー
これらは一部ですが、現在の名盤紹介の本と比べてもよく見る名前ばかりです。もちろんこの本はLPレコード期のもので古い本なので、評価されるべき本です。しかし現在の書籍でも毎回毎回同じような人ばかり紹介されると、こういった類の本の購入を躊躇っちゃいますよねぇ。名盤がコロコロ変わってもいけませんけど(笑)。
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September 13, 2010
シュナーベルは語る -音楽家の在り方-
フランツ・リストとあまり関連がないように思われる、アルトゥール・シュナーベルがこのように語っていました
“フランツ・リストは創造的なヴィルトゥオーソでした。彼は作曲し、指揮をし、教え、執筆し、同じ世代の知性ある人たちと交わりをもっていました。今日のヴィルトゥオーソはリストとまったく異なり、作曲もしなければ、教えもせず、指揮もしないし、筆を執るようなこともありません。またお互いや他のジャンルの人と接触することもありません。飛行機のおかげで、いつでも毎日のように違った場所で聴衆の前に、いつも同じプログラムで現れることができます。芸術の仕事が一地方的なものから、地球規模で行われるようになったことについて、一度よく考えてみる必要があるでしょう。二十世紀の社会は十九世紀時代のそれとは異なっています。なかには偉大な流派のかすかな記憶につながるような最後の輝きを感じさせる人もわずかにおりますが、ほとんどの音楽家は十九世紀時代の二流の音楽家に似ているところがあります。昔の人のいう多才な性格をそなえた新しいタイプの人間も出てくる可能性があり、事実新しい、多芸多才な人物の代表的なもの、つまりいかなる音の商品も取りそろえてありますという抜け目のないセールスマンのような人もいます。”
大ピアニストがあなたに伝えたいこと 100のレッスン
千蔵八郎著
春秋社
P76より
クラシック音楽という過去の音楽(必ずしも過去ではないけど)を再現するだけの現代の演奏家には耳の痛い言葉だと思いますが、僕個人は正直言うとこの意見には賛同しかねます。指揮しない、教えもしない、執筆もしないけど素晴らしいピアニストはたくさんいるではありませんか。ピアニストがピアノに専念するというのも当たり前のように思います。ただ単に時代の流れがそうなっただけではないでしょうか。職業が細分化され、より専門的に技術の修練をするようになっただけだと思います。
ただし他のジャンルの芸術家と交流をもつべき、という意見は全くその通りだと思います。
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January 16, 2006
ブレンデルは語る ―ケンプの伝説―
「~~は語る」というのがシリーズ化していますが(笑)、今回はブレンデルのお言葉です。
“1950年のケンプのリストの最初の伝説の古い録音も、誰も真似することができないレヴェルに達している名演です。”
対話録「さすらい人」ブレンデル
マルティン・マイヤー編著
岡本和子訳
音楽之友社
P260
僕はこの演奏を好きだったので、ブレンデルがこのように語っていてうれしくなりました。ヴィルヘルム・ケンプは若い頃、ブゾーニとダルベールを「理想のピアニスト」と崇拝していたようです。おそらくこの両巨匠のリスト演奏もケンプは聴いているのではないでしょうか?そして彼の師バルトはリストの高弟ビューローの弟子です。いや、でも影響関係は抜きにしてもこの演奏はすばらしい。ケンプにはリスト録音をもう少したくさん残して欲しかった。
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January 13, 2006
ロシアピアニズム
佐藤泰一氏の著書で「ロシアピアニズムの系譜」というものが以前、音楽の友社からでていましたが、「ロシアピアニズム」とタイトルが若干変わり、再版されています。ヤングトゥリープレスという出版社です。再版にあたり、なんとメロディアのLPカタログが掲載されています。僕はLPを買ったことないんですが、誰がどんな録音をしているか、とか見ているだけでワクワクします。著者はショパンとスクリャービンのディスクコレクターとして有名な方です。この方は音楽の専門家ではないみたいで、だからこそアカデミックな視点というよりもオタッキーな視点で書かれています。そこがこの著書を魅力的にしていると思います。少し残念なのは(もしかしたら僕の勘違いかもしれませんが)この方、リストに対して愛着が全くないようです。
しかし、情報量が膨大でピアニスト史に興味のある方は避けて通れない著書だと思います。日本人でよかったわぁ(笑)。本一冊としては安い買い物ではないですが、それだけの価値はあります。
http://youngtreepress.net
こちらから直接通販もできるみたいです。
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January 11, 2006
中村紘子は語る ―リヒテル―
“リヒテルの演奏は、すべての若いピアニストが考え得る限り最高の手本とすべき、ユニークにしてまっとうな正当さ、とでもいったもので確固と築き上げられている。そのふところの深さには宇宙的ともいうべきものがあり、ときにはシニカルなまで作品を客体化してしまう洞察力をみせる。彼の集中力は、実に驚異的なもので、ほとんど念力とか超能力とでもいう分野に近い。”
チャイコフスキーコンクール (中公文庫)
中村紘子著
58p
リヒテルの演奏を聴いて、僕が言葉で言いたくても言えなかったことを、ズバリ見事に表現していて、彼女の洞察力と作家としての能力の高さに感心します。さすがプロ。
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January 10, 2006
中村紘子は語る ―ホロヴィッツ―
“審査員たちが、思わず冗談半分にぼやく言葉がある。「こんなに厳しい審査では、仮にホロヴィッツが受けたとしても、とうてい受かりっこないだろうね。」
~中略~
ところがそうぼやく彼らが、ではピアニストの中でいったい誰を一番尊敬しているかといえば、異口同音に、「ホロヴィッツ」という答えが返ってくるのだ。”
チャイコフスキーコンクール (中公文庫)
中村紘子著
56p
ここから読み取れるのは「ホロヴィッツが絶対的な存在であること」と「コンクールというモノのジレンマ」だと思います。審査員が尊敬するホロヴィッツですら通過できない程、厳しくメカニックをチェックするなら、「第二のホロヴィッツ」はコンクールから誕生しないことになります。しかしコンクール出身の大ピアニストが少なくないという事も事実です。アルゲリッチ、ポリーニ、ツィマーマンやプレトニョフが代表でしょう。そしてさらに興味深いのは、今挙げたピアニストに続く世代の代表格がキーシン、アンスネスというコンクールを経験せずに名を挙げた人が多くいることです。一見現在のコンクールの権威が揺らいできているようにも見えます。
ユンディ・リがショパンコンクールで名をあげて、ラン・ランがコンサート活動で名をあげたという事実も対照的で面白いですね。
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January 09, 2006
ピアニストガイド
ピアノ音楽、ピアニストに興味のある方は要チェックです。
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