リストのややこしい事1 -アヴェ・マリア編-Harmonies poetiques et religieuses (early versions)

April 28, 2013

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.90

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
新発見 2 

Disc.90 
  詩的で宗教的な前奏と調べ 〔補筆:ハワード〕 S.171d
1. 第1番 
2. 第2番 "倦怠?" 
3. 第3番 
4. 第4番 "- 最後の幻影(?)" 
5. 第5番
6. 第6番 "心せよ" 
7. 第7番 "代わり" 
8. 第8番 "M.K." 
9. 管弦楽の無い協奏曲 S.524a
10. アルバムリーフ "マジャール" S.164e/2 
11. ハンガリー行進曲 S.229a 
12. 思想 "夜想曲" S.168b 
13. アルバムリーフ S.164h
14. アルバムリーフ "前奏曲" S.164j 
15. アルバムリーフ S.166l 
16. アルバムリーフ S.167h
17. おお、愛しうるかぎり愛せ 〔補筆:ハワード〕 S.540b 

Recorded: 2003 

〔メモ〕
〔1〕~〔8〕ワイマールのゲーテ=シラー・アルヒーフに所蔵されている「スケッチブックN5」に草稿が残されている作品群で、リスト本人は「詩的で宗教的な調べ (詩的で宗教的な前奏と調べ)」という風に書いていて、ハワードはそのカッコ内をタイトルとして採用している。演奏ができない未完成な作品もある。オランダのピアニスト、ピアノ教育家アルベルト・ブルセーがこの曲集を再現し、出版・録音をした。ハワードも自身の見解に基づいて再現した結果、ブルセーのものとは異なるものが出来あがった。ちなみに音楽学者レナ・チャーニン・ミュラーは、交響詩タッソーの短い草稿が収録されていることから、このスケッチブックを「タッソー・スケッチブック」と呼んでいる。曲集タイトルを見るとS.173の曲集「詩的で宗教的な調べ」と関連があるように見えるが、実際直接的な関連があるのは第1曲のみ。そもそもリストがこの曲集を最終的にどのような形(収録曲、曲数など)にしようとしていたかなどの詳細不明。 〔1〕「孤独の中の神の祝福 S.173/3」(Disc.13)の初稿。本来は無題。ハワードはDisc.15においてもこの曲を録音しているので、2度目の録音となる。ちなみにその時は「前奏曲」というタイトルを付けていた。草稿には「ナンシー、1845年11月16日」と書かれている。 〔2〕タイトルらしいものとして自筆で「Langueur?」と書かれている(クエスチョンマークも込みで)。日付は「1845年11月20日」。 〔3〕無題。日付は「1845年12月4日」。 〔4〕後に「バラード 第1番 S.170」(Disc.12)に主題が転用される。そして他の主題も変形されて「コンソレーション 第6番 S.172/6」(Disc.17)に転用されている。タイトルに付いているクエスチョンマークもリスト自身によるもの。終結部が無く、ハワードが補筆している。 〔5〕無題。日付は「1845年12月6日」。リストが宗教的、天上的作品を書く際の典型的な書法が見える。 〔6〕「心せよ」というタイトルが付けられている。この「心せよ」というタイトルは第4番(当ディスク・トラック〔4〕)にも下書きとして書かれている。終結部が無く、ハワードがリスト自身による他の似たような音素材を使用して補筆している。 〔7〕「代わり」と書かれているが、第6番の代わりとして書かれた可能性もあるが詳細は不明。旋律は後に歌曲「我死せり S.308」の旋律に使用される。つまりピアノ独奏曲「愛の夢 第2番 S.541/2」(Disc.24)と同じ旋律を持つ。 〔8〕「M.K.」とはリストの友人であったマリア・カレルギスのこと。ごく一部の下書きが残されているだけで、大部分をハワードが補筆した。 〔9〕「ピアノ協奏曲 第2番 S.125」の初期の草稿で、この時点ではとりあえずピアノ独奏として書かれている(ただしリストはピアノ独奏曲の譜面においても他の楽器挿入をほのめかす書き込みをすることがあり、この曲にも書かれている)。本来は無題だが、上記タイトルはシューマンに倣ってハワードが付けたもの。関連作品「アルバムリーフ S.163a/1」はDisc.89に収録。 〔10〕モシェレスのために書かれた小品。「マジャールの歌 第11番 S.242/11」(Disc.31)の旋律が使用されている。この旋律は「ハンガリー狂詩曲 第3番 S.244/3」でも使用されている。 〔11〕詳細不明の未出版の小品。 〔12〕上記の曲集「詩的で宗教的な前奏と調べ S.171d」と同じくスケッチブックN5に書かれている小品。リストはどうやら「思想」というタイトルの作品をいくつか作ろうとしていた形跡があるが、この1曲しか見つかっていない。1845年11月6日に書かれた。 〔13〕ゲーテ=シラー・アルヒーフに所蔵されている小品。リスト少年期の作品である可能性がある。譜面上に「L」と「D」が重なり合って書いてあるが、これは「Laus Deo (神を称えよ)」を意味している。 〔14〕「アルバムリーフ - リヨン前奏曲 S.166d/1」(Disc.86)の類似作品。曲というよりは指の運動のためのパッセージのようなもの。 〔15〕対位法が特徴的な小品。ゲーテ=シラー・アルヒーフに所蔵されている。 〔16〕音楽の遊び。右手は常に同じ和音を奏でるが、左手の旋律の動きによりその和音は異名同音となる。 〔17〕「愛の夢 第3番 S.541/3」(Disc.24)の初期稿。最終稿は変イ長調だがこちらはイ長調。ゲーテ=シラー・アルヒーフに所蔵されている未完の自筆譜。「ピアノ独奏最終稿」と「歌曲「おお、愛しうるかぎり愛せ S.298」のピアノパート」をイ長調へ移し、それを素材としてハワードが欠落部分を補筆したもの。




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