September 17, 2016

阪田知樹さんリストコンクール優勝!

リストコンクールと名が冠されることもあるブダペスト国際音楽コンクールにて日本人の阪田知樹さんが優勝されました!おめでとうございます!

このコンクールはハンガリーの由緒あるコンクールでアニー・フィッシャーやディノ・チアーニなどを輩出しています。

Youtubeにクライバーンコンクールなどの過去の動画がいくつかあったので視聴してみました。理路整然とした知的なアプローチで楽しく聴けました。あとカンパネラを聴いていたら、通常のバージョン(S.141/3)かと思いきや難度の高い前のバージョン(S.140/3)を演奏していて驚きました(笑)*。今後の活躍も期待したいと思います。

*ちなみに葉加瀬太郎さんが最近テレビで紹介したカンパネラの超難度の初期作品はまた別の作品「パガニーニの《鐘》による華麗なる大幻想曲 S.420」です。

外部リンク:Youtube: クライバーンコンクール2013の阪田さんの演奏(カンパネラは28:40あたり) 
外部リンク:「君嘘」演奏・阪田知樹、リスト国際ピアノコンクール優勝 日本人男性初 


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September 13, 2016

ブレンデルは語る -リストについて-

ブレンデルのリストについてのコメントをご紹介します。

"ロマン派におけるピアノの天子であり、宗教的ピアノ作品の創始者でもある。音楽的巡礼の編者であり、トランスクリプションやパラフレーズの飽くなき熟達者でもある。近代音楽の急進的先駆者であり、セザール・フランク、スクリャービン、ドビュッシー、ラヴェル、メシアン、リゲティの音楽的源泉でもある。

リストのピアノ音楽を深く知れば、彼が至高のピアノ芸術家であることが実感できるであろう。これは彼のピアニスティックな超絶的技術の話をしているのではなく、表現力の到達点のことを言っているのだ。シューマンが述べたように「表現の天才」であるリストのみが、ピアノが表現しうるどこまでも続く水平に光を照らすことができるのだ。ここでペダルが非常に重要なモノとなることは言うまでもない。

ロ短調ソナタ、巡礼の年、"泣き、嘆き、憂い、おののき"変奏曲、悲しみのゴンドラ、そして上質ないくつかのエチュードなどを例に出すに留めるが、リストの傑出したピアノ作品群はショパンやシューマンらの代表作と比肩しうると私は考えている。ロ短調ソナタについてはそのオリジナリティ、大胆さ、表現力の幅により、ベートーヴェンとシューベルト以降に書かれたこの類の作品全てを凌駕しているのだ。

今日リストの作品は過度なスピードで演奏されている。それ自体を目的とした技巧的な豪華絢爛さはリストにふさわしくない。また一見耳障りの良いものや、なよなよとしたものは避けなければならない。ヴィルヘルム・ケンプによる1950年録音の伝説第一番「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」が極上のクオリティによる詩的なリスト演奏を体現しているのだ。"

外部リンク: the guardian / An A-Z of the piano: Alfred Brendel's notes from the concert hall 

〔メモ〕 
この文章からブレンデルのリストへの敬愛がとても強く感じられます。そしてリストに対する誤解を少しでも解こうという彼の気持ちがのぞけるような気がします。ブレンデルが最も多く取り上げた作曲家はモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトそしてリストです。リストはワーグナーと共に新ドイツ楽派と言われています。ブレンデルはリストをドイツ・オーストリア圏の作曲家として扱っているような印象を受けます。「ハンガリー出身のロマン派の作曲家」という見方ではなく「ベートーヴェンやシューベルトの精神を受け継ぐ作曲家」という観点を持っているのではないでしょうか。観点の違いによりリストの音楽への接し方が変わってくると思います。

関連記事: シェーンベルク「フランツ・リスト その活動と本質」 
関連記事: バルトークは語る -リストの先進性- 
関連記事: ラヴェルは語る -リスト作品の欠陥- 
関連記事: ブゾーニは語る -リストという木- 
関連記事: アンスネスは語る -リスト録音- 


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August 31, 2016

FRANZ LISZT: The Piano Concertos

イェネ・ヤンドー

FRANZ LISZT: The Piano Concertos 

jando

Disc.1
1.-3. ピアノ協奏曲 第1番 S.124*
4.-9. ピアノ協奏曲 第2番 S.125*
10. ハンガリー幻想曲 S.123* 

Disc.2
1. さすらい人幻想曲 S.366 (シューベルト)*
2. ベートーヴェンのアテネの廃墟による幻想曲 S.122*
3. ベルリオーズのレリオによる交響的大幻想曲 S.120*

Disc.3 
1. 呪い S.121*
2. 華麗なるポロネーズ S.367 (ウェーバー)*
3. 《魔弾の射手》幻想曲 S.451 (ウェーバー)   
4. 死の舞踏 S.126ii* 

*アンドラーシュ・リゲティ指揮/ブダペスト交響楽団 

CAPRICCIO C7095
Recorded: c1990 

〔メモ〕 
ハンガリーのリスト音楽院でカタリン・ネメシュやパール・カドシャに師事したヤンドーによるリストの協奏曲集です。リストのピアノ協奏曲のまとまった録音といえばハワードの他にはベロフ、ロルティ、ピアースなどがありますが、ヤンドーもこのようにまとまった形で録音しています。彼は職人気質のピアニストであり、多くのレコード会社に非常に多くの録音を残しています。職人タイプの彼らしく高度な技術を持っています。自分の個性を推し出すのではなく、テンポ早目で元気ハツラツな演奏なのですが、解釈としては淡々としているようにも聴こえます。
ピアニストのレスリー・ハワードはリスト全集録音という偉業を達成しましたが、ヤンドーももしそのような機会があれば達成できたのではないかと思わせるほどの技術力があります。そしてレパートリーも非常に広いのでぜひフンガロトンで全集を達成していただきたかった! 

魔弾の射手幻想曲は別人の演奏でしょうか?

フランツ・リスト→オイゲン・ダルベール→エルンスト・フォン・ドホナーニ→シュテファニア・イムレ→カタリン・ネメシュ→イェネ・ヤンドー
フランツ・リスト→イシュトヴァン・トマーン→ケーリ=サーント・イムレ→カタリン・ネメシュ→イェネ・ヤンドー 
フランツ・リスト→イシュトヴァン・トマーン→ベラ・バルトーク→カタリン・ネメシュ→イェネ・ヤンドー
フランツ・リスト→イシュトヴァン・トマーン→アルノルド・セーケイ→パール・カドシャ→イェネ・ヤンドー 


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August 14, 2016

【楽譜】 新リスト全集 2

ムジカ・ブダペスト出版社 新リスト全集
第1シリーズ 第2巻 

  3つの演奏会用練習曲 - 3つの詩的カプリース S.144
1. 第1番 悲しみ
2. 第2番 ラ・レジェレッツァ
3. 第3番 ため息
4. アブ・イラート S.143
  2つの演奏会用練習曲 S.145
5. 第1番 森のざわめき
6. 第2番 小人の踊り 
  パガニーニによる大練習曲 S.141
7. 第1番 前奏曲
8. 第2番
9. 第3番 ラ・カンパネラ 
10. 第4番
11. 第5番
12. 第6番

Editio Musica Budapest: Z.5412

〔メモ〕
〔1〕~〔3〕1849年初版の演奏会用練習曲。パリで出版された際に「3つの詩的カプリース」というタイトルとそれぞれのタイトルが与えられる。レジェレッツァは「軽やかさ」の意。 〔4〕「技巧完成練習曲」というサブタイトルが与えられ1852年に出版された練習曲。アブ・イラートとは「怒りをこめて」の意。フェティスとモシェレスの編纂した教本「諸技法のメトード」へリストより寄稿された「サロン用小品」は当曲の初期稿。 〔5〕〔6〕1863年にレーベルトとシュタルクが編纂した教本「理論的・実用的大ピアノ教程」に寄稿された練習曲。 〔7〕~〔12〕パガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番の終楽章の主題を使用した作品「パガニーニの鐘による華麗なる大幻想曲」が1834年に出版される。シューマンはパガニーニのカプリースを練習曲風トランスクリプションとして1833年(Op.3)と1835年(Op.10)に発表するが、それに倣いリストもパガニーニのカプリースを基に練習曲を作った。それが1840年に発表された「パガニーニによる超絶技巧練習曲」である。全6曲中5曲はパガニーニのカプリースのトランスクリプションであり、唯一第3番だけは上記の「鐘による大幻想曲」を編集して作ったもの。そのリストの曲集に対しシューマンは「シューマンの編曲がその作品の詩的な側面を取り出すものであるならば、リストは、そういう側面が全くないわけではないが、むしろヴィルトゥオーゾ的側面を浮かび上がらせる」と評論している。そして最終的にはここに収録される「パガニーニによる大練習曲」となり1851年に出版される。


アマゾンのリンクは参考のためです。実際に購入される場合はご自身での確認をお願いいたします。


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May 21, 2016

Apparitions - Consolations - Csardas, etc J.Swann

ジェフリー・スワン 

Apparitions - Consolations - Csardas, etc J.Swann 

swann

1. 顕現 第1番 S.155/1
2. 顕現 第2番 S.155/2 
3.-8. コンソレーション S.172 (全曲) 
9. 死のチャールダーシュ S.224 
10. チャールダーシュ S.225/1 
11. 執拗なチャールダーシュ S.255/1
12.-18. ハンガリーの歴史的肖像 S.205 (全曲) 
19. ハンガリー狂詩曲 第5番 S.244/5 
20. ハンガリー狂詩曲 第12番 S.244/12 

AGORA AG 090 
Recorded: 1990 

〔メモ〕 
一時期はリスト弾きとして名を上げたこともあるジェフリー・スワンのご紹介です。彼はアレクサンドル・ウニンスキー、ベヴァリッジ・ウェブスター、ジョゼフ・ブロック、アデル・マーカスに師事しました。ディノ・チアーニコンクール1位、エリザベートコンクール2位などコンクールでも活躍しました。
当ディスクはフランスのモンペリエで行われたフェスティバルにおける彼のコンサートのライブ録音を集めたものです。ライブ録音ゆえにミスタッチも散見されますが、即興性や生き生きとしたモノも感じられます。また個性を発現させることを恐れず、野心的な解釈も見られます。全体的に面白く聴けます。そしてレパートリーも珍しいものが多く含まれ顕現、チャールダーシュやハンガリーの歴史的肖像などは録音される機会の少ない曲であり、そういう意味でもこれは面白いアルバムですね。

彼はこのアルバムの他にピアノ協奏曲全集、巡礼の年全集、超絶技巧練習曲全曲、メフィストワルツ全曲などの録音があります。

フランツ・リスト→テオドール・リテール→イシドール・フィリップ→ベヴァリッジ・ウェブスター→ジェフリー・スワン
フランツ・リスト→コンスタンティン・シュテルンベルク→オルガ・サマロフ→ジョゼフ・ブロック→ジェフリー・スワン


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May 04, 2016

【楽譜】 新リスト全集 1

ムジカ・ブダペスト出版社 新リスト全集
第1シリーズ 第1巻 

  超絶技巧練習曲 S.139
1. 第1番 前奏曲
2. 第2番 
3. 第3番 風景 
4. 第4番 マゼッパ 
5. 第5番 鬼火 
6. 第6番 幻影 
7. 第7番 英雄
8. 第8番 荒々しき狩
9. 第9番 回想 
10. 第10番
11. 第11番 夕べの調べ 
12. 第12番 雪嵐  

Editio Musica Budapest: Z.5411

〔メモ〕
「12の課題による練習曲 S.136」が「12の大練習曲 S.137」へと改訂され、その大練習曲を前身とする練習曲集。リストの代表作のひとつでもある。各曲の標題はこの最終稿になってから付けられた。〔3〕「風景」〔4〕「マゼッパ」〔6〕「幻影」はヴィクトル・ユーゴーの詩より付けられた。〔8〕「荒々しき狩」は荒ぶる猟犬を連れ、唸り声を上げる悪霊が大群で空を移動するというヨーロッパの神話を示しているとされている。ちなみにこの狩人の神話はヨーロッパ各地で解釈が異なり、時には魔物化した北欧神話の神オーディンであったり、アーサー王であることもある。


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April 24, 2016

LISZT - POULENC - DEBUSSY - SATIE: Kun Woo Paik

クン・ウー・パイク 

LISZT - POULENC - DEBUSSY - SATIE: Piano works 

paik

Disc.1 
1. メフィストワルツ 第1番 "村の居酒屋での踊り" S.514
2. ヴァレンシュタットの湖で S.160/2 
3. 泉のほとりで S.160/4 
4. B.A.C.Hの主題による幻想曲とフーガ S.529ii 
5. 愛の夢 第3番 S.541/3 
6. ハンガリー狂詩曲 第12番 S.244/12 
7. エステ荘の噴水 S.163/4 
8. 孤独の中の神の祝福 S.173/3 

Disc.2 
1. 夜想曲 第1番 FP56/1 (プーランク) 
2. 夜想曲 第5番 FP56/5 (プーランク) 
3. 夜想曲 第6番 FP56/6 (プーランク) 
4. プレスト FP70 (プーランク) 
5. 即興曲 第10番 FP63/10 (プーランク) 
6. 即興曲 第12番 FP63/12 (プーランク) 
7. 即興曲 第15番 FP63/15 (プーランク) 
8. 間奏曲 第2番 FP71/2 (プーランク) 
9.-11. ピアノのために (ドビュッシー) 
12. グノシエンヌ 第4番 (サティ) 
13. グノシエンヌ 第5番 (サティ) 
14. オジーヴ 第1番 (サティ) 
15. オジーヴ 第2番 (サティ) 
16. 自動記述法 第1番 (サティ) 
17. 自動記述法 第2番 (サティ) 
18. あらゆる意味にでっちあげられた数章 第1楽章 (サティ)
19. 太った木製人形のスケッチとからかい 第3番 (サティ) 
20. ひからびた胎児 第2番 (サティ) 
21. ひからびた胎児 第3番 (サティ) 
22. 月の光 (ドビュッシー) 
23.-25. 3つの無窮動 FP14 (プーランク)   
26.-28. 3つのジムノペディ (サティ) 

Virgin Classics 7243 5 61757 2 3 
Recorded: 1990 

〔メモ〕 
韓国を代表する現代の名匠パイクのリスト集とフランスピアノ音楽集のカップリングアルバムのご紹介です。ジュリアード音楽院で名教師ロジーナ・レヴィーンに学び、その後イロナ・カボシュ、ヴィルヘルム・ケンプ、グイド・アゴスティに師事しました。リスト直系ピアニストやブゾーニ直系ピアニストは素晴らしいリスト作品演奏をすることが多いですが彼もその一人です。カボシュとケンプはリスト直系ピアニストであり、アゴスティはブゾーニの弟子です。以前ハフのCDを紹介した際にも似たようなことを言ったのですが、ヴァージン・クラシックスが選ぶピアニスト達は実力派が多いですね。アンスネス、プレトニョフ、ハフ、デュシャーブル、アンデルジェフスキなどですが、パイクは彼らに負けず劣らずの実力派です。
高い技巧を要求される曲に対しては素直にその技巧力を発揮し、筋肉質な演奏をします。全体的に過度な味付けはなく、表情は穏やかです。なのでどんなに超絶技巧を発揮しても嫌味な部分はありません。巡礼の年などの楽曲では穏やかで洗練性のある演奏をしています。その研ぎ澄まされた洗練性も彼の高度な技術があるからこそ実現できたものでしょう。彼のその洗練性はフランス音楽にも遺憾なく発揮されています。

ちなみにこのCDの収録曲に「バッハ変奏曲」が含まれているかのように書いてありますが、それは「BACHの幻想曲とフーガ」の誤りです。

フランツ・リスト→アールパード・センディ→イロナ・カボシュ→クン・ウー・パイク 
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ヴィルヘルム・ケンプ→クン・ウー・パイク


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March 27, 2016

アンスネスは語る -リスト録音-

ネットラジオでピアニストのアンスネスがリストの録音について語っていました。簡単にまとめてみたいと思います。


● リスト録音との出会い
「記憶が曖昧だけど、たぶんマルタ・アルゲリッチの演奏するピアノ協奏曲やソナタだったと思う。子供の頃に僕は愛の夢やコンソレーションは演奏していたけど、こんな曲を演奏するなんて不可能だと思ったよ。印象的で色彩感に溢れ、3人のピアニストが演奏してるのかと思った」

● リパッティのペトラルカのソネット104番 
「これまでに存在した最も偉大なピアニストの一人。最も大きな影響を受けた。ピアニスティックに完璧で洗練性の極致で比類がない。流れが自然で自発性に富んでいる」

● カペルのハンガリー狂詩曲11番
「燃え盛るような情熱があり、確信に満ちている。このような曲はノンシャランにお行儀よく演奏されることが多いけど、カペルはリスクを恐れずにドラマを創出してる」

● ファウスト交響曲について
「信じられないくらい先進性がある。友人のアントニオ・パッパーノも興奮気味に言っていたが、チャイコフスキーへ大きな影響を与え、そして12音技法のように書かれた部分もある。とても野心的でワーグナーがこの曲を気に入ったのも不思議ではない」(バーンスタインのファウスト交響曲が流れますがこれはアンスネスではなくDJのトム・ハイゼンガが録音を選びました)

● ユジャ・ワンのロ短調ソナタ 
「フレッシュでラプソディック。無限の可能性を感じる」

● アムランのハンガリー狂詩曲2番 
「彼は作曲家的な視点も持ち合わせていてカデンツァを作曲している。そこでは聴いたこともないような豪華絢爛な技巧が繰り広げられる。ヴィルトゥオジティというものは楽しくてエキサイティングなものだね」

● 自身の演奏するノネンヴェルトについて
「この曲は自然的、瞑想的であり情景を感じることができる。巡礼の年のような作品もそうだが、聴衆に映像や匂いを感じさせることができる」 

● ゲザ・アンダの森のざわめき
「アンダはお気に入りのピアニストですが、過小評価されてます。この演奏はサプライズに満ちていて、自発的で推進力がある。こういうサプライズは普通計算されてなされるものだけど、彼の演奏は計算がなく自然」

● バルトークのスルスム・コルダ 
「これは録音も悪く、ミスタッチもありますが興味深いので選びました。この曲は通常静的に演奏されることが多いですが、彼の演奏は内的エクスタシーと幸福感が感じられます」

〔感想〕
アンスネスは現在、世界の第一線で活躍しているピアニストですが、そのようなピアニストでも新旧問わずいろいろな録音を聴いているんですね。やはりリパッティのペトラルカは名演ですね!ものすごい興味深い会話でした。途中でリストのことについても語っていました。「リストはある意味で底の浅いポップスターでいることもありました。ピアニスティックな観点から言えば見事な曲でも、底の浅い曲もいくつかあります。彼は聴衆を目の前にしてどのように成功するかを計算していた部分もあります。そういう意味では現代人のようでもありますね。しかしだからと言って彼に精神性の深い部分が無いということではないのです。例えばブラームスは多くの作品が素晴らしいので偉大な作曲家とみなされます。一方リストは底の浅い作品もいくつかあり、そして偉大な傑作も残しています。底の浅い作品があるからリストはそれほど偉大な作曲家ではないと言う人もいますが、私はそうは思いません」とアンスネスは語っています。僕が思うにこの意見はとても真っ当であり、フェアな見方だと思います。アンスネスがリストを誤解無く捉えてくれているのは嬉しいです。彼は最近あまりリストを演奏していないようですが、これからも期待したいです。

関連記事: liszt piano recital: leif ove andsnes 


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March 24, 2016

VOLODOS PLAYS LISZT

アルカディ・ヴォロドス 

VOLODOS PLAYS LISZT 

volodos
 
1. オーベルマンの谷 〔ヴォロドス編〕 S.160/6 
2. 物思いに沈む人 S.161/2 
3. 小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ S.175/1 
4. 調性のないバガテル S.216a 
5. ハンガリー狂詩曲 第13番 〔ヴォロドス編〕 S.244/13 
6. 婚礼 S.161/1 
7. "泣き、嘆き、憂い、おののき" 前奏曲 S.179 
8. 葬送曲 S.173/7 
9. 悲しみのゴンドラ II S.200/2 
10. 夢の中で S.207 

SONY CLASSICAL 88697096122
Recorded: 2006 

〔メモ〕
ガリーナ・エギアザロワ、ジャック・ルヴィエ、ドミトリー・バシキーロフに師事したヴォロドスのリスト集です。ロシア・ピアニズムとフレンチピアニズム両方の流れを汲むピアニストとなります。
現代を代表するスーパーヴィルトゥオーゾといえばアムランやカツァリスを思い浮かべますが、その両横綱の次の世代のスーパーヴィルトゥオーゾ代表の座はおそらくヴォロドスのものとなるでしょう。「ヴィルトゥオジティー」という観点から言うならば、このディスクの目玉はハンガリー狂詩曲13番です。この曲はホロヴィッツも編曲して演奏していますが、ヴォロドスは尊敬するホロヴィッツのその編曲を参考にし、更に自分なりの改編をして演奏しています。目も眩むような絢爛豪華な音のシャワーを堪能することができます。
しかし技巧性ばかりに注目して紹介をするのは読者の方に誤解を与える危険性があります。彼のもう一つの特徴は真珠のように丸く、まろやかな美しい音色と言えます。彼は絢爛な技巧で聴衆を圧倒するだけではなく、美しい響きで聴衆をウットリさせることもできるのです。夢の中で、婚礼や聖フランチェスコなどはとろけるような美しさがあります。いろいろな意味でこのディスクは驚嘆すべき瞬間に満ち溢れています。

オーベルマンとハンガリー狂詩曲は大幅に(大胆に)改編されていたので〔ヴォロドス編〕と表記しましたが、他の曲も多かれ少なかれ改編はされています。

フランツ・リスト→パウル・パブスト→アレクサンドル・ゴリデンヴェイゼル→ガリーナ・エギアザロワ→アルカディ・ヴォロドス
フランツ・リスト→アレクサンドル・ジロティ→アレクサンドル・ゴリデンヴェイゼル→ドミトリー・バシキーロフ→アルカディ・ヴォロドス


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March 17, 2016

リストのややこしい事4 -ラーコーツィ行進曲編-

ラーコーツィ行進曲はハンガリーの民俗旋律で国民に親しまれた旋律です。ハンガリーの国歌「賛称」が制定される前、ラーコーツィ行進曲は非公式の国歌のような扱いだったそうです。フェレンツ・ラーコーツィⅡ世が好んだためこの名前が付けられました。日本ではラコッツィ行進曲と呼ばれることもあります。リストもこの旋律にちなんだ曲をいくつか書いています。ここではピアノ独奏曲をまとめてみたいと思います。

試聴はこちらからどうぞ(YouTube)

● 代表グループ
- 〔A〕ハンガリー狂詩曲 第15番 ラーコーツィ行進曲 S.244/15
- 〔B〕ハンガリー狂詩曲 第15番 ラーコーツィ行進曲 〔異稿〕 S.244/15bis
- 〔C〕ラーコーツィ行進曲 〔普及稿〕 S.244c
まず「リストのラーコーツィ行進曲」と言えばハンガリー狂詩曲のもの〔A〕を指します。リストの代表曲の一つとして親しまれています。〔B〕はそのオッシアを演奏した異稿であり、〔C〕は〔A〕を簡素にしたものです。

● 前身グループ
- 〔D〕マジャール狂詩曲 第13番 ラーコーツィ行進曲 S.242/13
- 〔E〕ハンガリーの民俗旋律 (ラーコーツィ行進曲 マジャール狂詩曲 第13番a) S.242/13a
- 〔F〕ジプシーの叙事詩 第7番 ラーコーツィ行進曲 S.695b/7 
マジャール狂詩曲という曲集はハンガリー狂詩曲集の前身となるものです。つまり〔D〕が発展して〔A〕となります。〔E〕は〔D〕の簡易稿です。〔F〕は楽譜が書かれておらず「マジャール狂詩曲 第13番(おそらく簡易稿)を挿入するように」という指示があるだけなので、つまり〔E〕=〔F〕となります。

● 編曲グループ 
- 〔G〕ラーコーツィ行進曲 〔管弦楽稿より編曲〕 S.244a
- 〔H〕ラーコーツィ行進曲 〔管弦楽稿より簡易編曲〕 S.244b 
リストはラーコーツィ行進曲の旋律を使用して管弦楽作品も書いている。〔G〕はそのトランスクリプションであり、〔H〕は〔G〕の簡易稿。 

● その他グループ
- 〔I〕ラーコーツィ行進曲 〔第1稿〕 S.242a
- 〔J〕ラーコーツィ行進曲 〔第1稿・異稿〕 S.692d
- 〔K〕アルバムリーフ "ラーコーツィ行進曲" S.164f 
〔I〕は1839年辺りに書かれた、ラーコーツィ行進曲を使用した最初期のピアノ作品。〔J〕は〔I〕の簡易稿だが未完。〔K〕は戯れに書いたと思われる20秒弱の楽想。

● ホロヴィッツ
- ラーコーツィ行進曲 〔ホロヴィッツ編〕
ベルリオーズもラーコーツィ行進曲を使用した管弦楽作品を書いている。そのベルリオーズ版の編曲とリストのピアニズムを参考にしてホロヴィッツが再編成したものがこのホロヴィッツ版ラーコーツィ変奏曲。
ホロヴィッツ版の試聴はこちらからどうぞ(YouTube) 

関連記事: リストのややこしい事1 -アヴェ・マリア編- 
関連記事: リストのややこしい事2 -悲しみのゴンドラ編-
関連記事: リストのややこしい事3 -子守歌編- 


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